ある人に好きだと言われたら、自分も相手のことが気になるようになった―。
恋バナでよく聞く話ですよね。
職場でのチームワークでも、この「好き」という気持ちが伝わって、お互いにうまくいくというケースはとても多いんじゃないかと思います。
もちろん仕事は恋愛感情とは違いますが、実はとても似ていませんか?
仕事仲間に興味を持つ→素敵なところを見つける→仲間として好きになる→相手にも好かれる
今日はそんな職場における心理学のお話をご紹介したいと思います。
返報性の原理 好きという気持ちがチームをつくる
「◯◯さんって、こういうところすごいですね!」
「◯◯さんの仕事の仕方が好きです。」
こう言われて嫌な気持ちになる人はいないと思います。
そして、こう言ってくれる人に対しては、「困った時には助けてあげたい」とか「この人も、こういうところが素敵だな」とか、何かお返しをしようと思うもの。
心理学的には「返報性の原理」と言って、人は何かをしてもらうと、お返しをしようという気持ちになります。
露骨なゴマすりは「媚を売っている」と言われることもありますが、純粋に相手に興味をもって、いいなと思うことを素直に伝えることって素敵なことだと思うのです。
相手に興味を持っているということ、好きだという気持ちは、きっと伝わります。
円滑なチームワークを育むために、この気持はとても重要なことではないかと思うのです。
ピグマリオン効果 期待が人を育てる
はじめは仕事ができない新人でも
「この人は飲み込みが早くて理解力がある」
「仕事に関する才能がある」
上司がそう思って接していると、実際に仕事ができる人になる―。
実際の能力に関係なく、「周りが期待をかけると、本当に期待通りの結果を出すようになる」という有名な実験が「ピグマリオン効果」です。
ただし、何の理由もなく全肯定すると実力の伴わないナルシストになったり、また一部の人だけに期待するのは、えこひいきにつながるという批判もあります。
実際、ビジネスというシビアな領域で、心にもない褒め言葉を言ったり、根拠なく才能を信じることは難しいですよね。
そこでおすすめなのは、その人のいいところを探すこと。
「こういうところがすごい」
「この点ではメンバーの中でも優れている」
その上で「この才能を磨くと、あなたならきっとこうなれるよ」と期待すると、言われた方も「自分はこういうところが強みなんだ」「もっとこの才能を伸ばそう」と期待に応えようとしてくれます。
ちなみに、逆パターンもあって「周りが全く成果を期待しないと、実際に成果を出せない人になる」というゴーレム効果という実験もあるんですよ。
ホーソン効果 関心が人を変える
ピグマリオン効果とよく似た実験に、ホーソン効果というものがあります。
アメリカのホーソン工場で行われた実験で、「何を改善すれば作業効率が一番上がるのか」という調査を行なった結果、「周りの仲間や上司から関心をもってもらえること」が一番効果があったという調査です。
ピグマリオン効果の「期待」ともよく似ているのですが、自分に興味や関心を持ってもらえていると思うと、がんばれますよね。
「忙しい時でも、報告や連絡をしたらすぐに返事をしてくれた」
「困った時に親身に相談に乗ってもらえた」
こんなことがあると、自分に興味や関心を持ってくれていると思うもの。
だから、相手の考えや行動に興味を持つこと、ちゃんとレスポンスを返すことが、円滑なチームワークや仕事では欠かせないのです。
職場でのチームワークを育む心理学の法則まとめ
相手に興味を持つ、期待をする、気持ちを伝えるー。
こうしてみると、チームワークづくりもやっぱり恋愛とよく似ているなと思うのです。
いや恋愛と同じだからこそ、人は興味を持ってもらえたり、期待をされると、それに応えようと思うものなのかもしれませんね。
ただし、男女問わず特定の人に対してえこひいきしたり、過度にアプローチするのは、トラブルのもとになるのでくれぐれもご注意を。
恋愛感情を抜きにして、人と真剣に向き合えるのが、わたしはチームや仕事の素敵なところだなと思っています。
一線を引きながらも、一緒に働く仲間に関心を持って、素直に気持ちを伝えることが、心から信頼しあえるチームづくりにつながっていくと思うのです。