最近、鈴木祐さんの『科学的な適職』を斜め読みしたのですが、その中に興味深い内容がありました。
性格診断や適性診断はほぼすべてアテにならないが、唯一「制御焦点(モチベーションタイプ)」というものだけは、合理性が立証されているというもの。
幾つかの質問に答えることで、「攻撃型」と「防御型」のいずれかを診断してくれるのですが、その内容は次のようになっています。
攻撃型
目標を達成して得られる「利益」に焦点を当てて働くタイプ。成長や進歩を実感しやすい職業に向いている。
コンサルタント、アーティスト、テクノロジー系、ソーシャルメディア系、コピーライターなど
防御型
目標を「責任」の一種としてとらえ、競争に負けないために働くタイプで、安心・安定した職業に向いている。
事務員、技術者、経理係、データアナリスト、弁護士など。
実際にテストをしてみると、わたしは断然攻撃型の特性が高くなりました。
確かに安全・安定やリスク回避よりも、成長・変化や得られる成果がモチベーションになっていることが多いなぁと感じます。
それは裏を返せば、慎重さに欠けておりミスや失敗が多いということでもあります。
一方で、わたしの妻さんは圧倒的に防御型。また、会社のメンバーの中にも、防御型が強いなぁと思う人がそれなりに多いと感じます。
そこで今日は、攻撃型・防御型の思考の違いを比較しながら、攻撃型がリスクヘッジする方法を考えてみたいと思います。
ちなみにこのテスト方法は、次の質問項目に7点満点で点を付けていきます。
全然当てはまらない場合は1点、非常に当てはまる場合は7点です。
- どうやったら自分の目標や希望をかなえられるか、よく想像する
- 私はたいてい、悪い出来事を避けることに意識を集中している
- 私はたいてい、将来自分が成し遂げたいことに意識を集中している
- どうやったら失敗を防げるかについて、よく考える
- 私は、自分の理想を最優先し、自分の希望や願い・大志をかなえようと努力するタイプだと思う
- 自分の責任や役割を果たせないのではないかと、よく心配になる
- 怖れている悪い出来事が自分にふりかかってくる様子を、よく想像する
- 私はたいてい、人生において良い成果をあげることに意識を集中している
- 職場(学校)での私は,仕事(学業)で自分の理想をかなえることを目指している
- どうやったら良い成績がとれるかについて、よく考える
- 将来どんな人間になりたいかについて、よく考える
- 目標とする成績をとれないのではないかと、よく心配になる
- こうなったらいいなと願っている事がかなう様子を、よく想像する
- 職場(学校)での私は、仕事(学業)での失敗を避けることを目指している
- 自分が将来そうなってしまったら嫌だと思う自分像について、よく考えることがある
- 私にとっては、利益を得ることよりも、損失を避けることの方が大事だ
この質問のうち、1、3、5、8、9、10、11、13が攻撃型、2、4、6、7、12、14、15、16が防御型で、それぞれの設問の点数を足した合計が高い方が、あなたのモチベーションタイプとして優位ということになります。
攻撃型の思考と、防御型の思考の違い
「もし〜なら?」を考える
よく感じるのは、物事を決める際の視点が大きくことなるということです
例えば新しいことを始めるか決めるときに、攻撃型の人は利益に目を向けます。
「これをすることでよりよくなる!多少の困難はあるがメリットの方が大きい」
といった感じです。リスクを過小評価する傾向があるとも言えるかもしれません。
一方で防御型の人は、リスクに目がいきやすい。
特に「もしこうなったら」と考える傾向が非常に強いと感じます。
「もしこのような事態になってしまったら、どうする?」
といった思考です。
攻撃型の人には、この「IF」という最悪の事態への想定が弱いのかもしれません。
だからこそ、攻撃的な思考を取れるとも言えます。
でも、想定力の弱さは思わぬ事態でトラブルや失敗を招くことになりますよね。
そこで攻撃型の人は、自分が想定力が弱いと自覚し、「IF」という思考で、自分が思っているよりも一段悪い事態を考えるクセをつけると、この失敗を回避しやすいのではないかと思います。
合意の形成
もうひとつ、防御型思考の人を見ていて思うのは、合意形成が慎重だということです。
例えば、ミーティングに欠席している人がいたり、発言していない人がいる場合は、物事を決めずに全員の合意を取ることを大切にしているように感じます。
攻撃型の人は、機を見ることを大切にする傾向があるので、あまり気にしません。
「ではこれでいきましょう」「欠席者には決定事項を連絡しておきます」
という感じです。これがやはりトラブルを招くことに繋がりかねないですよね。
少なくても大きな決断をする前には、出席者の発言を促して意向を確認したり、欠席者に対しても一応連絡をとって問題ないかを確認してから、決めることができれば無用なトラブルは招きません。
「今こういう意見が出ていますが、◯◯さんはどう思いますか?」
「ではこの方向で進めたいと思いますが、最終◯◯さんの確認をとってまたご連絡しますね」
といった具合です。スタンドプレーよりもチームワークを重視する姿勢を見せると、防御型を含めた周りのメンバーも安心して物事に取り組めますよね。
多角的な視点で物事を見る
SNSなどで度々起きる問題に、いわゆる「炎上」があります。
これも攻撃型の人が起こしてしまう傾向が多いのではないかと思います。
もちろん攻撃型の人も、自分の発言が周りにどう見られているのか考えているつもりでしょう。
でも、防御型の人ほどには考えられていないんです。
そこに気づいたのは、わたしの妻さんのtwitterに対する慎重さです。
「こういう立場の人はどう感じるだろう」
「こんな境遇の人にはどう受け取られるだろう」
彼女は一つ発言する際にも、自分が想定しているユーザーではない様々な属性のタイプを思い描いて、誰かを不快にしたり傷つけないかを考えるそうです。
一方わたしのような攻撃型の人は「自分がターゲットとしている人にどれだけ刺さるか」を考える傾向があります。だから「周りにどう見られているか」の「周り」がターゲットユーザーしか頭にないんです。
そんな攻撃型の人に、見たこともない人たちへのリスクを考えるのは難しいかもしれません。
そこでおすすめなのは、最低限ターゲット以外の「自分の身の回り人たち」がどう感じるかを考えること。
親・兄弟・家族・友人・会社の人、なるだけ年齢性別などが異なる人の立場で想像してみると、リスク回避のひとつの方法になるのではないかと思います。
攻撃型がリスク回避する方法まとめ
機を見て動き、成果を最大化する攻撃型の人が、しっかりリスク回避もすることができれば、大きなメリットになると感じます。
『科学的な適職』を書いた鈴木祐さんも、何か物事を進める前に、1〜2分考えるだけでも効き目があるとおっしゃっていますよ。
- 「もし〜なら?」で自分が思ったよりも悪いケースを考える
- 物事を決める際は、合意の形成を大事にしてみる
- 身近な人を想像し、多角的な視点で物事を見る
わたし自身、この記事を書いている中でいろんな失敗を思い出しました…。
もし、その時に防御型の視点を持っていれば防げたかもしれません。
無用のトラブルは上手に避けながら、よりよい成果を出していきましょう。
※ちなみに防御型の人も、リスクばかりではなく、得られる利益やメリットに意識的に目を向けることで、より行動的になれるそうですよ。