従業員幸福度をあげると売上や利益もあがるのか?

carutaでは、さまざまな福利厚生や働き方、チームワークの取り組みをご紹介しています。さて、それで売上はあがったの?というのは、経営者やチームリーダーの方なら一番気になるところですよね。

事実から言うと、売上は下がりました。

えっ

と思われるかもしれませんが、2019年から2020年にかけて約10%売上ダウン。しかもこのとき役員を含めスタッフ数は7人→11人と1.5倍に大幅増員していました。
つまりスタッフは増えたにも関わらず、売上がさがるというとてもよくない状況です。

しかし、売上がさがったという事実が、必ずしも福利厚生や働き方などの制度を進めたことが原因とは限りません。

今日はこの売上ダウンがどのような原因によるもので、その後の方針に何をもたらしたのかを考えてみたいと思います。

スポンサーリンク

なぜ2020年度の売上が下がったのか

さて、2019年から2020年にかけて、売上は減りました。そしてこの間、福利厚生や働き方の取り組みを進めていたのも事実です。

つまり、働き方の取り組みを進めることで売上が減った、という相関関係が成り立つように見えます。
少なくとも「売上があがった」とは言えないでしょう。

会社でも実際何が原因だったのか、役員でデータをもとに多角的な分析を行いました。
その結果、大きく2つの要素が関係していると結論づけています。

コロナ禍でクライアントの内製化・支出見直しが増えた

2020年2月頃より、日本国内でもコロナ感染者数が増え、緊急事態宣言が発令されるなど、日本経済は大きな影響を受けました。
わたしの会社はWeb制作会社のため、幸い大きな影響を受けることはなく、またクライアントの多くも直接影響を受けたところは少なかったように思います。

一方で先が見えない状況は、Webサイトというある意味広告への積極的な投資をためらわせる要因になりました。

外出自粛などでWebの重要性は高まり、依頼件数は増えたものの、新規サイト制作や全面リニューアルなどの単価の高いご依頼は減少しました。

また、保守運用など長期間にわたる契約の解約が増えたのも特徴です。ランニングコストを抑え、Webサイトの活用をできるだけ社内で内製化しようという企業が増えたことも多いように思います。

逆に言えば、そのような需要にうまく応えることのできなかった営業戦略上の失敗が、ひとつの要因だったと考えています。

スタッフの大幅増員により、育成支援・引き継ぎなどの業務が増えた

2019年、増え続けるご依頼に対応するため、新たにスタッフを4名採用しました。

約1.5倍という大幅なスタッフ増、さらに新規メンバーのほとんどが業界未経験というこの経営判断は、その後のコロナ禍もあって結果的には大きな負担になりました。

わたしの会社は、役員含めメンバーの大半が業界未経験で入ったこともあり、「Web業界でこれから活躍したい」という新人を採用して活躍させたいという方針があります。

このため、新規参入メンバーへの指導・育成に大きなリソースを割く必要があり、更に業務の引き継ぎなどによって売上や利益に関わらない業務が増えることになりました。

わたしは新しいメンバーに入ってもらえたことは、この結果を踏まえてもよかったと思っています。しかし、事実として売上が伸び悩む要因の一つになったことは否定できません。
一方で、外注費が20%ほど減ったことも事実として付け加えておきます。

福利厚生や働き方、チームワークの取り組みは売上を上げるのか?

こうして見ると、2019年から2020年にかけての売上減は、福利厚生や働き方といった社内制度の取り組みとは大きく関係がないように思います。

むしろ、売上があがったというエピソードをひとつご紹介しましょう。

もともとわたしの会社は、今ではブラックとも言える働き方の会社でした。9時出社で22時が実質定時、社内のコミュニケーションもチームワークもなく、入社数年で離職者が続出するような会社です。

そんな会社がチームワークづくりに取り組みはじめたのは、2017年頃です。この年、はじめて会社の理念や評価制度を整備し、社内研修をはじめ、働きやすい会社づくりへの取り組みを始めました。

その結果、2017年・2018年・2019年と売上は右肩あがりにあがり30%以上アップしています。また、2017年もスタッフが4名ほど入社していますので、2019年と似たような状況でした。

さらに2018年に最後の退職者が出てからは、その後退職者は出ていません。(また退職したスタッフは、フリーランスとして現在も週4日でリモート勤務してもらっています)

当時のブラックさと、その後の経緯はこちらでまとめています。

もちろん、売上が減ったのと同じように、売上が上がった理由も様々です。必ずしもチームワークへの取り組みが売上げアップの一番の理由とは言えないでしょう。

ただ少なくとも、会社で働くスタッフの幸福度をあげることはできました。それは「役員フィードバックシート」という、会社や役員に対するスタッフへのアンケートからも読み取ることができます。

これからの取り組みについて

結論としては、3年あまりの取り組みでは、従業員幸福度が売上を大きく左右するとは言い切れないなと感じています。きっと良い面も、悪い面もあったでしょう。

しかし、このような取り組みをしてきたからこそ、この窮地にあって「売上や業務により積極的に取り組んでいこう」と、スタッフみんなで協力して、事業に関するさまざまな取り組みをはじめることができました。

わたし自身も、スタッフが働きがいをもって協力しながら仕事に取り組めることは、「売上があがる会社」への基盤となるものだと感じています。

むしろ売上があがったとしても、働くことが楽しくない会社に意味はあるのでしょうか。

売上や利益ありきではなく、そこで働くスタッフがまず幸せであること。それが、お客様やひいては社会全体を幸せにできる第一歩だと思うのです。

スポンサーリンク
follow
プロフィール

とあるWebマーケティング・制作会社の役員をしています。このブログでは、私たちの会社のリモートワークやチームビルディングの取り組みを発信していきます。

follow
caruta