サービスや買い物をするときに、ランキングサイトや比較サイトってとても便利ですよね。
サービスの特徴や金額がまとめられていて、おすすめ度がわかるサイトです。
有名どころでは「価格.com」でしょうか。わたしもよく利用しています。
一方で、ランキングサイトや比較サイトの中には、とても恣意的で客観性に欠いたサイトも数多くあります。
あくまで個人の観点から作られたもの、ならまだ信用できるのですが、一見客観的に作られているものの方が、実はあまり信頼できないことが多いのです。
今日はそんなランキング・比較サイトの裏側を、Web制作会社の目線でお話したいと思います。
ランキングサイトや比較サイトはどのように作られているか
多くの人がランキングサイトや比較サイトに対して期待することは、公正で客観的な目線からの比較だと思います。
例え個人で作ったものでも、少なくともその人の目線から各サービスを公平に比較したものであれば、サービスの検討に役立てることができるでしょう。
しかし、ランキングサイトや比較サイトを作る側の目的は、多くの場合「紹介している上位のサービス」にアクセスを誘導するためだけに存在していることが少なくありません。
代表的な例を見てみましょう。
アフィリエイトで収益を上げたい人が作っている
アフィリエイトとは、自分のサイトに広告を貼り、その広告を経由して商品・サービスが購入された場合、売上の数%が支払われる仕組みです。
支払われる金額はマチマチですが、中には5,000〜10,000円を超えるような高額な商品やサービスも存在しています。
この高額な紹介料を得るために、比較・ランキングサイトが制作されるケースはとても多いのです。
多くのユーザーは、1番に紹介されているものを検討すると思いますが、それをクリックして購入すると、そのサイトの制作者にお金が入る仕組みになっている…となると、客観的で公正な評価は期待できませんよね。
掲載元からお金をもらっている
わたしの会社にも「ランキングサイトにあなたのサービスを掲載しませんか?」という営業メールが来ることがあります。
つまり、アクセスの集まる比較サイトをつくっておいて、そこに企業からお金をもらって掲載するというパターンです。
上位表示させるほどお金がかかる…なんていう仕組みだと、もちろん客観的な評価ではなく、内容や順位もお金次第です。
ランキング1位の会社が、自社集客のために作っている
ランキングサイトでは、1位がどこよりもいいという、言わば第三者からの強力なお墨付きをもらえることになります。
これを利用して、自分の会社を1位にしたランキングサイトをつくることで、第三者に見せかけながら自社を宣伝するために作られていることも少なくありません。
自社の強みやいいところばかりを取り上げ、他社よりも優れているように見せかけることでユーザーを誘導する。とてもスマートなやり方とは言えませんが、Web制作の業界では集客の一手段にあがることがあります。
どうしたら恣意的で不公平なランキング・比較サイトを見抜けるか
では、ランキングサイトや比較サイトが、必ずしも役にたたないかというと、そういうわけではありません。
「アフィリエイトを利用しているけど、ランキングは実際に利用してみて公正に評価している」といったケースも存在していて、ユーザー目線で有益な情報を発信しているサイトも少なくないからです。
そこでおすすめなのは、「下位のサービス」も検討してみるということです。
ランキングを成り立たせるためには、多くのサービスを紹介する必要があります。
上位に載せるかどうかが恣意的に決定されている場合でも、情報を客観的に見せるために、下位のサービスは比較的よいサービスを選んでいることは少なくありません。
ランキングの順位や、比較の順番に惑わされずに、掲載されているサービスを自分で比較してみることで、自分にとってよりよいサービスを選ぶことができます。言わば、選択肢を提供してもらえると考えるとよいかもしれません。
また複数のランキング・比較サイトを見てみることで多角的に検討することもできるでしょう。
(その場合でも、アフィリエイトの報酬順になっているサイトが複数ありますので、ちょっと雰囲気の違うサイトを利用することをおすすめします。)
そもそもWebサイトは広告だという観点をもとう
こうして見ると、比較サイトやランキングサイトは、いわゆるステマ(ステルス・マーケティング)の一種になっているケースがたくさんあります。
しかし、比較・ランキングサイトを除いたとしても、そもそもGoogle検索の表示自体が一種のランキングになっているとも言えます。
上位に表示される商品やサービスが、必ずしもユーザーにとってよいサービスとは限りません。
例えば最上位の広告枠に掲載されるのは、Googleにお金を払った企業ですし、通常枠で表示されるサイトも「SEO対策」といって、Googleで上位表示させるために専門家にお金を払って努力をしている企業がたくさんあります。
(Googleはそのようなことにならないように、掲載順位の仕組みをアップデートし続けていますが、順位が決まる仕組みがあるということは、上位表示させるためのテクニックをなくすことはできないとも言えます)
こう考えると、すべてのWebサイトは広告だと考える視点が大切だと思います。
実際にWebサイトを作る側としては、他社に比べて優れている点やよい点を打ち出し、情報をしっかり載せて、使いやすいサイトを作る努力をしています。
しかしそれは、ユーザーを騙すためではなく、いかにユーザーに選んでもらい、心から満足してもらえるかという健全な競争なのです。
比較サイトやランキングサイトに限らず、すべてのサイトは広告であるという点を踏まえた上で、情報取捨選択して自分で比較検討してみることが、よりより選択のためには大切なのかもしれません。