- 対象
- 全スタッフ
- 難しさ
- 低い
- 実施時間
- 特になし
- コスト
- 特になし
わたしの会社では、入社した10年ほど前から、今月の売上状況や議題を話し合う会議をしていました。
確か基本的には週1回、全社員が出席する会議です。全社員といっても当時は3〜4人ですから、定例会議という形だったと思います。
社員が増えて8人くらいになってからも3年くらいはずっと続いていたのですが、その間に「この会議の意義」について何度も課題になっていた記憶があります。
いわく、「一部の人しか発言していない」「みんなに主体性がない」「議題が出てこない」etc
最終的に、この会議は月1回になり、ついに昨年には全社員出席の定例会議は消滅することになりました。
それで何か困ったかというと、特段困ってもいません。そもそも「情報共有」がほとんどの会議に、「8人以上」集まるということに大きなムダと無理があったなぁと今では思います。
今日は、全体会議の何が問題だったのか、振り返ってみたいと思います。
全体会議で、なにが話し合われていたのか
全体会議では、主に次の2つのことを話し合っていました
- 今月売上の現状と見込みの共有
- その時々にでてくる議題の検討
今月の売上の現状と見込みの共有
当時、売上はすべてエクセルで管理しており、一枚のシートに年間の売上・見込みが顧客ごとにまとめられていました。
年間累計ですのでとんでもなく長いシート。これを全員分印刷して資料として配布します。
この売上状況について、各担当から今月納品して売上が経ちそうか、あるいはスケジュール的にずれそうか、などの報告を行っていました。
何か案件にトラブルなどがあれば、それについても話し合うことが多かったように思います。
しかし、Web制作をしているわたしの会社では、人数が増えてくると「デザイナー」「コーダー」などの分業化が進み、クライアントと直接やり取りしない制作メンバーもこの場に出席することになります。
「全体の売上状況は知っておいてほしい」という思いから参加を続けてもらっていましたが、おそらく全く発言の機会がない彼らにとっては、あまりピンとこない退屈な時間だったでしょう。
その時々にでてくる議題の検討
売上の確認が終わると、課題について話し合う時間です。
が、この議題が全然出てこない。
毎回、議題がある場合は事前に出してくださいとアナウンスしたり、ご意見箱的なものを出しても、スタッフから議題が出ることはほぼありませんでした。
どちらかというと役員(当時は役員でなかったりしますが)から、案件についての懸念事項や問題について議題が出ることが多く、実質その問題に関係する一部の人しか発言していない状態でした。
議題があっても全く意見が出ないので、「〇〇さんはどう思いますか?」と社長が順番に振って聞いていく…という今思い出すとなんとも寒い雰囲気だったなぁと思います。
当時は「会議で発言しないなんて、いる意味ないじゃん。なんでもっと積極的に発言しないんだろう」とわたし自身思っていたのですが、これは今考えると無理のないことだったなぁと思います。
全体会議の何が問題だったのか
こんな状況だったので、全社員出席の会議をどうにか変えたいと何度か試みが行われました。
アイスブレイクを取り入れたり、ファシリテーターを持ち回りにしたり、場所や席順を変えてみたり…しかしいずれも根本的な解決には至りませんでした。
なくした今になって思う問題点は、もっと根本的なところにあったように思います。
いくつかあげてみましょう。
心理的安全性の確保ができていなかった
一番大きな理由はこの心理的安全性です。特にまだ入社間もないメンバーにとっては、「間違っていないか」「的はずれな意見ではないか」など心配だったはず。
当時の社内の雰囲気は、よくいえば静かで集中しやすい、悪く言えば静かで話しづらく、個人的な交流や雑談がほぼない感じでした。
そんな状況で遠慮なく意見を出し合って話し合うことは難しかったと思います。
更に致命的だったのは、わたしをはじめ一部の役員が「正論で意見を否定する」ことが頻繁にあったことです。
今では「いいね!」「とりあえずやってみよう」「確かにそういう面あるね!」と言えるのですが、当時は「それは難しいでしょ」「こういう場合はどうするの?」「こういうリスクあるよね」など、平気で否定的な意見を発していました。
もちろん、悪気があったわけではなく、仕事としてマジメに考えていたから…なのですが、こんな状況では意見を出せなくなるのは当たり前ですよね。
人数が多すぎた
8人以上になってくると、会議で話し合うには人数が多すぎる…ということにそもそも気づいていませんでした。
会議に最適な人数は4〜6人くらいが最適と言われているそうです。
わたしの体感では、より少ない3〜5人くらいが全員が発言しやすく、遠慮なく話し合いができるベストではないかと感じています。
8人くらいになると、一人当たりの発言機会や発言時間は極端に少なくなり、ひとことも発言できない…という参加者が出てきます。誰かの話しが長くなると困るので、ファシリテーションの難易度もあがってきます。
しかし、当時は「全員で出席して話し合うことに意味がある」「全メンバーにも話しを聞いていてほしい」という気持ちが社長以下役員の間に根強く残っていたのだと思います。
重要な決定事項の共有などであれば、全員に話しをする機会もあっていいかもしれません。しかし議題などを話し合うのに、この人数にはそもそも無理があったと思います。
そもそも情報共有がメインで、会議にする必要がなかった
売上状況や見込みの共有を、全社員に共有するということ自体は、わたしは今の会社のとてもいいところだなぁと思っています。
売上は営業しか知らない、毎月・毎年会社がどのくらい売上をあげているのかわからない、他のメンバーの売上を見れない、という状態は、とても閉鎖的で情報が制限された状態だからです。
ただ、これを会議で、しかも毎週する必要はなかった、というのが今思う感想です。
当時はエクセルで管理していた売上表も、今ではboardというクラウド型の経理・管理ソフトを導入し、誰でも毎月の売上や担当者ごとの売上状況を、リアルタイムで入力・閲覧できるようになりました。
担当者ごとの見込み状況などもわかるので、経営的にはこれを使って個別に確認したりするだけで、わざわざ全体で会議の時間をとる必要はなくなりました。
ちょっと手間は増えるかもしれませんが、エクセルだったとしても、同じことはできたのではないかなぁと思います。
全社員での会議がなくなってから
そういうわけで全社員での会議はなくなったわけですが、全社員が顔を揃える機会がなくなったわけではありません。
例えば、毎日やっている朝礼、毎週木曜日に行っている「よかったこと終礼」、毎月の「誕生日ランチ」「自慢シート投票」など、全員で行うことでとても意味のある取り組みができるようになりました。
こういう取り組みを通じて、会社の雰囲気はとても明るく楽しいものに、仕事もチームワークを活かして、やりがいの感じられるものに変わってきたと感じています。
一部の人しか発言しない、情報共有が目的の、多人数でやる会議、にはとてもムダが多かったなぁと改めて思いました。
定期的に、今やっている会議が本当に効果的か、意味のあるものか、見直してみてもいいかもしれませんね。