- 対象
- 全スタッフ
- 難しさ
- やや高
- 実施時間
- 10分/人
- コスト
- なし
- 主な内容
- 毎月1回、自慢シートにその月がんばったことや成果を書く
- 自慢シート大会で、一人5分程度で発表する
- 発表をもとに全スタッフで投票し、評価に反映する
- 効果
- リモートワークでも、各メンバーがどのように仕事をがんばったのかや成果を出したのかが共有できた
- 360°評価になるので、多様な視点から客観的な評価につながった
- 離れていても同じ会社でお互いがんばっているという一体感が生まれた
リモート環境で毎月1回がんばったことを共有し、評価に反映する
わたしの会社では、2020年10月から新しい評価の仕組みを取り入れました。
それまでの評価制度では、コロナ禍&完全リモートワーク体制での運用に問題があったからです。特に、事務所で顔を合わせることが減る中で「通常の業務(Web制作)をどう評価するか」が一つの課題でした。
これまでは役員や上長にあたるメンバーが、スタッフ全体の動きを概ね把握できました。それがリモートになってスタッフ同士で仕事をすることも増え、みんながそれぞれどう仕事をしているのか、全体像を把握しづらくなったのです。
その解決を目指したのが「自慢シート投票」という評価の仕組みでした。
毎月1回、前月に自分が成果をあげたことやがんばったことを全員で共有・発表し、スタッフ同士で投票を行います。投票の得点合計が、評価の一部になるという仕組みです。
今日はその導入と運用についてシェアしますね。
自慢シート投票の導入と制度設計
リモート環境での評価制度としての導入
自慢シート投票の仕組みを導入したのは、NHKのクローズアップ現代の放送を見たのがきっかけでした。2020年6月22日「ウィズコロナ時代 “カイシャ革命”であなたの仕事は?」の回で、オンリーストーリーさんの取組みが特集されたのです。
この翌日にわたしが社内で共有した投稿が残っていました。
オンリーストーリーという会社さんの「自慢シート」という取り組みが面白かったので共有です。
1. リモートでお互いの取り組みやがんばりが見えないので、評価しづらい環境(特に努力やプロセス)
2. 毎月「自慢シート」に数値的な成果だけでなく、努力やプロセス(がんばったこと)を書く
3. 月1回ミーティングをして全員に共有。投票で月間MVPが選ばれる。→ 今の評価制度だと、月々変わる日常業務の取り組みを評価しにくいところがあり、 これを取り入れてリモート環境での業務を評価に加えるのはどうかなと。
もちろん、その分手間がかかることになるので、 代わりに現在の目標数を減らすなど他を削減・簡略化する形で。
あと、個々人のプロセス部分は、案件の関係者でも把握しづらいので、 社内的に共有することで「そういうやり方があったのか」という共有になればと思いました。
あくまでただのアイディアですが、意見あればいただけると嬉しいです。
これをほぼそのまま踏襲(丸パクリ)したのが「自慢シート投票」という仕組みです。
しかし導入にあたって社内に意見を聞いたところ、意外なところで見直しの声があがりました。
わたしの会社での評価の仕組みづくり
自慢シート導入にあたって実際に、みんなにプレゼンしたスライドがこちらになります。
みんなの声は、具体的には次のような反応でした。
ミーティングで投票し、その結果も発表するということだが、自分としてはすごくがんばったのに賞に選ばれないケースが出てくると思う。評価は給与にも反映されるので、結構それはショックを受けるかもしれない。
MVPはどうしてもディレクターや営業などの「成果がわかりやすい人」が選ばれやすいのでは。例えば、「チェックを入念にする」「締切を守る」など地道に努力していることも評価されるようにしてほしい。
自己申告だけよりも、同じプロジェクトに関わった人からのフィードバックもあるとよりわかりやすく評価できると思う。
通常業務や社内プロジェクトが忙しい中で、自慢シートの発表・フィードバック・投票などに毎月多くの時間を割くのは負担に感じる。
TVに取り上げられるようなよい制度だからといって、自社に合うとは限らないのですね。(というよりはTVでは制度のごく一部しかわからなかったので、詳細の仕組みは違うのかもしれません)
こういった声をすくい上げて、改めて作り直したのがわたしの会社の「自慢シート投票」です。
1.自慢シートに、前月「成果を出したこと」「がんばったこと」を記入
2.毎月、第二木曜日に自慢シートミーティングを実施する
3.自慢シートミーティングは、以下の流れで行う
・発表はひとり5分
・最初の人が発表し、次の発表者を指定する
・次の人は、前の発表者に対して簡単にフィードバックを行う
4.全発表が終了後に、投票を行う。投票は以下の3つの賞に該当する人を選ぶ。
・成果を出したで賞 … 売上や受注など最も成果を出した人
・がんばったで賞 … 結果に関わらず挑戦・努力した人
・サポートしたで賞 … 他の人を助けたりサポートした人
5.投票結果は非公開とするが、期末時点で各賞の合計得票数を本人に開示する。
非公開にすることによって、穏やかな雰囲気となり、3つの賞を設けることで、多様な観点から評価することができるようになりました。
また、発表に対するフィードバックは行いつつも、一人に対して1コメントにする、投票とその表彰の時間は不要など、時間的な負荷とのバランスを取ることもできたように思います。
※ちなみに自慢シートはkintoneでアプリを構築して利用、投票は非公開とするためGoogleフォームを利用して作成しました。
自慢シート投票、実際にリモートで行ってみました
2020年11月19日(木)、はじめてわたしの会社で自慢シート投票を実施してみました。
初の取り組みで、どういう雰囲気になるか不安もありましたが、結果としてはとても明るく和やかにミーティングをできました。実施して改めて、みんながリモートの中でいろいろな点で努力していること、協力しながら業務にあたっていることを実感しています。
特にリモート環境下、自分が関わっていないプロジェクトについて、日々詳細に把握することができているとは言えません。他のチームやプロジェクトでどのような取り組みを行っているかなども知ることのできるよい機会になったと思います。
また、それぞれの発表内容が個性的で、「案件の相談がきたときに、なるだけ断らずに受けた」「解析レポートをこういう資料にまとめた」「お客さんから”対応がとてもよいのでぜひ◯◯さんにまたお願いしたい”と言ってもらえた」など、いろいろな内容を聞くことができたのもよかったです。
一方で、「自慢」が得意な人、不得意な人がいるというのは今後の運用での留意点だと感じます。わたしの会社では、どちらかというと謙虚なタイプが多いので、もっともっとPRできるのにな、と思うこともありました。逆に言えば、自慢シートの場が、自己PRなどの発信力を身につける機会になればとも考えています。
まだ運用ははじまったばかりですが、これからリモート環境で評価の仕組みづくりも変えていく必要があると感じています。
自慢シート投票、そのひとつの選択肢としてとてもおすすめですよ!