コミュニケーション

「質問」が共感と行動をつくる〜質問力を身につけよう〜

3.5
対象
全スタッフ
難しさ
実施時間
特になし
コスト
特になし

「質問が大事な理由ってなんだと思いますか?」

こう聞かれて、あなたはどう感じましたか?

実はこれ、ある方向に思考を誘導する質問です。それは「質問が大事」という前提が刷り込まれているということ。

こう聞かれて「いや、そもそも質問は大事じゃないよね?」と考えることは難しいですよね。
多くの人は、「確かに質問は重要だ、理由として考えられるのは…」という思考パターンになるのではないかと思います。

このように、「問いかけ」は人の思考を誘導したり、あるいはより深い考えに発展させたりする力を持っています。

特に社内のスタッフと日々のコミュニケーションで使う「質問」は、間違った使い方をすると人間関係を壊す原因にもなる一方、うまく使えばチームのポテンシャルを大きく引き出すことができます。

今日は、わたしが普段使っている具体的な質問の事例ついてご紹介したいと思います。

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社内でスタッフとのコミュニケーションに使っている質問

相手の主体的な行動を引き出す「それを実現するために、どうするの?」

「わたしは将来このようなキャリアに進みたいです」
「こういうことができればいいと思います」

1on1面談や、普段のやり取りの中で、スタッフからさまざまな希望を聞くことがあります。こういうとき、以前のわたしはよく「じゃあこうしたらいいよ」とアドバイスをしていました。

でも、こういったわたしの経験に根ざしたアドバイスは、必ずしも有効とは限りません。
むしろ、その人の特性ややり方を無視した「指示」になってしまい、本人のやる気や主体的な行動の機会を奪ってしまう可能性もあります。

「それを実現するために、あなたはどうするの?」

このように質問をすることで、相手は希望を実現するために具体的なアクションを考えてくれます。

人から言われたことではなく、自分で考え、自分で決めるという内発的な行動は、モチベーションもあがります。また、実際に実現できたときの達成感は大きくなります。

もちろん、それが適切な行動でないこともあるでしょう。そういうときは「いいね!ただ、こういうケースはどうする?」というように、見落としていることに光を当ててあげましょう。

困ったことを話してもらう「何を分担できますか?」

相手が大変そうなときは、つい「大丈夫?」と聞いてしまいますよね。
でも、「大丈夫?」と聞かれて「大丈夫ではありません」と答えられる人はなかなかいません。

このYES,NOで答えるクローズドクエスチョンは、明確に返答しなければならない分、心理的な負担が大きいのです。

「大変そうですが、何を分担できますか?」
「今何が一番大変ですか?」

このように、回答が複数あるオープンクエスチョンにすると、相手の心理的な負担を和らげることができます。

これらの質問は、どちらも「分担できることがある」「大変なことがある」という前提に立っていますので、聞かれた方も自然とホンネを回答しやすくなります。

大丈夫と言っていたけど実は大変な負担をかけていた。なかなか自分を頼ってくれない。という時にぜひ活用していきたいテクニックです。

罪を憎んで人を憎まず「それができなかったのは何が原因ですか?」

「なんでできなかったの?」

何かミスがあったときに、ついこういった質問をしてしまいがちですが、これは強い威圧感を与える詰問です。言われた方は、「あなたが悪い」と責められているようにしか受け取れられないでしょう。

人は自分を攻撃されると、例え本当に自分の行動に原因がある場合でも本能的に防御しようとします。だから、つい言い訳や嘘を考えて問題解決の本質から遠ざかってしまいがちです。

「それができなかったのは何が原因ですか?」

この質問のポイントは、相手自身に問題があるわけではなく、「何が」という問題の本質に焦点を当てていることです。相手を責めるのではなく、一緒になって問題の原因を探る姿勢を伝えましょう。

建設的に未来を考える「これから、どうしたらいいと思う?」

「何が原因ですか?」は過去の問題を振り返るための質問ですが、より重要なのは発生した問題を解決したり、同じことを繰り返さないことですよね。

「これから、どうしたらいいと思う?」

この問いかけをすることで、「今回はこういう理由で問題が発生してしまったので、先方にはこのように対処を伝えて、同じことを繰り返さないように社内体制をこのように変えたいです」といった、より建設的で前向きな発想に切り替えることができます。

やはり相手を責めるのではなく、一緒に前向きな未来を考えることが大切です。この質問をすることで、次のアクションにつなげていくことができるようになります。

不安を取りのぞく「気になる点は何かありますか?」

マネージャーやリーダーとして、会社の決定事項をチームに伝えるときによく使われるのは「何か質問はありますか?」ではないでしょうか。

一見相手を尊重しているようで、これはメンバーの「気持ち」ではなく「内容」に関して問題がないかの確認の意味合いが強くなります。

決定事項を伝えるというのは、相手に行動を強制する指示という側面がありますよね。受け取った側は心理的な負担を感じることが多いもの。

「なにか気になる点はありますか?」

この質問をすることで、そのような不安を素直に話してもらいやすくなります。
内容の理解も大切ですが、メンバーの不安を取り除くことが物事を進めるためには一番大切にしたいポイントです。

たくさん問いかけをして、チームやメンバーのポテンシャルを引き出そう

ここまで紹介したのはわたしが使っている問いかけの一部ですが、こういった質問を身に着けていくことで、コミュニケーションをスムーズにし、チームやメンバーの可能性を引き出すことができるようになったと感じています。

話を聞いて質問をする、またそこから相手の話を聞く…という行動は、相手との信頼関係の構築にとても効果的で重要です。
自分の考えを伝えるのではなく、相手を理解する姿勢こそ、リーダーに求められる資質と言えるかもしれません。

また、質問はスタッフとだけではなく、クライアントとの打ち合わせや、自分自身の問題解決のアプローチとしてもとても有効に使えるテクニックです。

質問力に関する本もたくさん出版されていますので、興味のある方は読んで見みてください。