- 対象
- 全スタッフ
- 難しさ
- 高(習慣づけ)
- 実施時間
- 特になし
- コスト
- 月間約1,000円/人
わたしの会社はWebサイトの制作をしているのですが、togglというタイムトラッキングツールで、プロジェクトごとにどのくらい時間がかかっているのか工数を記録しています。
Webサイト制作には、仕入れ値や原材料費といった原価がほぼかからず、売上にかかる経費の多くは人件費だからです。
例えば100万円の見積もりに対して、どのくらい工数がかかったのかを記録しておけば、そのプロジェクトが黒字なのか赤字なのか、利益率を見直すことで、次の見積もりに活かすことができます。
今日はTogglの使い方や振り返り方、次にどのように活かすのかをまとめてみます。
Togglで工数を把握するための準備
1時間/人の必要売上を算出する
まず、Togglと使う前に、一人が1時間あたりどのくらいの売上を出さないといけないかを算出してみましょう。簡略化した計算式は次のようになります。
会社を維持するための月間総経費 ÷ 人数 ÷ 1人あたりの月間労働時間 = 必要売上(時間/人)
例えば、人件費や事務所の維持費などで月間1000万円の売上が必要で、スタッフ15人、8時間労働で4週と計算すると次のようになります。
1000万円 ÷ 15人 ÷ 160時間 = ¥4,166
これが一人が最低限1時間あたりに稼がないといけない費用です。
各売上に対する工数費用の考え方
1時間あたりの必要売上をもとに、Togglで工数をつけることで、各案件の売上に対してどのくらい経費がかかっているかを算出することができます。
例えば100万円のプロジェクトで500時間かかった場合は
¥1,000,000 – (¥4,166 × 200時間)= ¥166,800(利益率16.7%)
となり目標値を達成していることがわかります。
ただ、いつも顧客に関わる仕事をしているわけではないですよね。
実際には社内のミーティングだったり、技術研究だったり、自社サイトの運用だったり、様々なことに時間を使っています。
また利益がでなければ、何かに投資をしたり、採用活動をしたりすることができません。
このため、実際にはこの金額では不十分で、利益率30%程度の金額が目標になるでしょう。
このように、各プロジェクトごとの工数や利益率を把握して、利益が出ているのか、何が原因で工数がかかったのかを振り返り、制作体制の見直しや、次の見積もりに活かしていくことがtogglを利用する最大の目的になります。
Togglの使い方
それでは具体的なTogglの使い方を見ていきましょう。
Togglのアカウント登録
まずは、Togglの公式サイトにアクセスして、アカウントを登録します。
ちなみに、Togglには次の3つのサービスがありますが、今回ご紹介するのは「Toggl Truck」になります。
- Toggl track:タイムトラッキング
- Toggl Plan:プロジェクト管理
- Toggl Hire:採用応募者のスクリーニング
アカウントの登録は、メールアドレスとパスワードのみでOK。
GoogleやAppleのアカウントも利用可能です。
なお、Togglは個人で使う場合には無料で利用できますが、チームで時間を集計したり、プロジェクトを共有するためには、一ヶ月あたり10USD/人の費用がかかります。
まずは個人で利用して使い勝手を試してみましょう。
Togglの使い方
Togglの使い方はとってもシンプルです。基本的にはやることを入力して、スタートボタンを押すだけ。これを繰り返すことで時間を計測し、レポートとして見返すことができます。
顧客・プロジェクト・チームの設定
次は会社の複数メンバーで活用する方法をご紹介します。
ToggleではClients(顧客)、Projects(プロジェクト)、Team(チーム)をそれぞれ登録することができます。
- Clients(顧客) … クライアント名を入力します
- Projects(プロジェクト) … 顧客に紐づくプロジェクトです。
- Team(チーム) … 社内のメンバーを管理します
レポートを出すときに、それぞれ顧客ごと、プロジェクトごと、メンバーごと、あるいはその組み合わせで算出することができて便利です。
Clients(顧客)の登録方法
顧客の登録はシンプルに名称だけ。わたしの会社では、「連番_顧客名」の形式で登録しています。
Projects(プロジェクト)の登録方法
プロジェクトの登録もいたってシンプルです。
プロジェクト名、カラー、ワークスペース、顧客を設定するだけ。
ちなみにワークスペースというのは、「会社のワークスペース」か「個人のワークスペース」かを選べるもの。会社で使う場合は基本「会社のワークスペース」にしましょう。
「Private project」だけ、ONになっていると、他のメンバーから見えなくなりますので、共有する場合は必ずチェックを外しましょう。
Team(チーム)の登録方法
メンバーの登録は「Team」から行うことができます。わたしの会社では利用していませんが、グループを作成することもできるので、部署・部門ごとに管理もできるようです。
ちなみに、1時間あたりの工数費用はこのメンバーごとに設定することもできます。
ただしタスクをはじめるときに「$」マークを押さないといけず入力漏れが頻発したため、わたしの会社ではレポートでは時間だけを算出して、別のツールで費用をだしています。
おまけ:Tags(タグ)の登録方法
顧客やプロジェクトとは別に「タグ」をつけることもできます。
これを利用すれば、例えばプロジェクトの作業種別ごとにレポートを出すことも可能です。
ただここまで細かくなると設定や計測が面倒になるため、わたしの会社では利用をやめました。
顧客・プロジェクトを設定した利用画面
実際に顧客とプロジェクトを設定する方法です。といっても顧客はプロジェクトに紐付いていますので、実質プロジェクトを設定すればOK。
顧客やプロジェクト名の一部を入力すると一覧が表示されますので、そこから選択できます。
また、新しいプロジェクトや顧客も実はこの画面から追加することができますので、いちいち画面遷移する必要がなく手間がかかりません。
作業をはじめるときに、このプロジェクトを設定してはじめれば、プロジェクトごとの時間管理ができるようになりますよ。
ちなみに、タグの設定や、チームで設定したコスト計算の有効化も、合わせてこの画面から設定することができます。
プロジェクトごとの作業工数を算出して利益率を計算しよう
Togglはレポートが充実しており、実に様々な形で何にどのくらい時間がかかったのかを集計することができます。
基本的にはプロジェクトごとの時間を算出することで、利益率を出すことができますが、期間・メンバー・タグなどを組み合わせると意外な発見があるかもしれません。
わたしの会社では、Togglで算出した工数を集計して、プロジェクト管理ツールに記録しています。
また、月に1回工数実績を振り返るミーティングを行い、各プロジェクトの利益率を共有。利益率が低いものについて、どこに時間がかかったのか、どうすれば改善できるのかを話し合って、次のプロジェクト管理に活かしています。
Togglで工数を記録して、利益率を把握できるようになって
Togglを導入するまでは、何にどれだけ時間がかかっているのかを把握することができず、各案件の利益率などが全くわからない状態でした。
例えば、当初の見積もり額より工数が大幅にオーバーしていたとしても、記録がないため利益が出ているのかどうかは体感でしか把握できません。毎月の定期契約で実は赤字を出し続けていた…なんてことがわかったりして、Togglの導入は適正な見積もりや単価の見直しにとても有効に活用できています。
一方で、全スタッフが作業ごとにTogglで計測を行うことは、習慣づけるまでかなりの努力が必要です。様々な作業が細かく入るような立場だと、ひとつひとつを計測することは相当な手間になります。
わたしの会社でも未だに正確に作業を記録することはできていませんが、週1回記録できているかを確認して声かけをする、スマホアプリを使った使い方を共有するなどして、習慣化に取り組んでいます。
ただ、Togglは様々なタイムトラッキングツールの中でも、PC・スマホ問わず様々なデバイスで使えたり、Googleカレンダーなどと連携できたり、圧倒的に使いやすく便利なツールです。
ぜひ活用して、作業の見直しや利益率の把握に役立ててみてください。