- 対象
- 全スタッフorチーム
- 難しさ
- 中
- 実施時間
- 10分/日
- コスト
- なし
- 主な内容
- 1日10分だけ、時間を決めてスタッフやチームで目標に取り組む
- zoomなどテレビ会議で行う(ただし、最初と最後以外は画面を切ってミュートOK)
- 最初に今日やる内容を、最後に取り組んだ感想や質問/相談などをシェアする
- 効果
- 通常業務で忙しい中でも、確実にやるべきこと・やりたいことに取り組めた
- チームで取り組むので一体感があり、問題も解決しながら進められた
- 「できた」という自己肯定感が促進され、課題に前向きに取り組めた
スタッフ全員で会社のブログを書く取り組みが成功した理由
Web制作会社という仕事がら、お客様に「ブログを書きましょう」「情報発信をしていきましょう」というお声かけをすることがよくあります。
WebサイトのSEO対策という観点から、ページ数を増やす・更新頻度をあげるということが一つの目的です。SEO対策なので、なんでも書けばいいのではなく「業務やサービスに関連した専門的な内容を」「ユーザーの困りごとを解決する形で」「大体何文字くらいで」ということにも気を使わなければなりません。
これ、ものすっっごく大変なんですよね!
言ってるわたしの会社でも、そんな定期的なブログ記事の投稿は全然できていませんでした。(ひとりだけ毎月記事を書いてくれるIさんというスタッフがいるのですが、彼女以外は全然投稿できていない状態)
長年の課題であるこの状況をどうにかしようと、同じく役員のYさんが提案してくれたのが「1日10分全員でブログを書く」という取り組みでした。
SEO対策・広報を目的にはじめたこの取り組みですが、「みんなで取り組む」「アウトプットをする」という習慣は、スタッフの一体感を強め、各個人にとってもよい影響があったように感じています。
今日はその取り組みと感想についてシェアしたいと思います。
1日10分ブログをはじめたきっかけ
わたしの会社では、これまでにも何度か「ブログ記事を書こう」という呼びかけがありました。そして、その度に挫折してきました。そのときの理由は大体次のようなものです。
・業務が忙しい
・記事を書くのが苦手な人がいるので、やるのは有志だけ
・なのに書いても特に評価されない
・すぐに効果がでない、反応がない
様々な事例を見ても「書き続けることさえできれば、必ず問い合わせなどの結果につながる」という確信はあります。また、アウトプットや情報発信が、見る人だけでなく自分自身の成長につながるというのもよく聞く話です。
それがわかっていても、続けることが最も難しいんですよね。
今こうして記事を書いているわたしにしても、役員にも関わらず、会社という組織のためにブログ記事を書き続けることは容易ではありません。
しかし、スタッフを急激に増やした途端に、コロナで会社の業績が下がる中で、新規の受注を獲得していく手段の確保は待ったなしの状況になりました。
これまで「強制はなるだけしない」というスタンスだったのですが、ここに来てついにわたしの会社も強制に踏み切ったのです。
大切なのは一体感と強制の仕方
役員会でスタッフにブログを強制する方向が決まったとき、わたしが考えていたのは、「毎週順番にひとりずつ記事を書く」というものでした。これは割とよく採用されている方法だと思います。
10人いれば、10週に一回で済むので負担はそこまで大きくないだろう、それだけ期間があれば書けるだろう、と考えていました。
また、記事を書くことのメリットがないので、1記事書くごとにインセンティブを出す、というアイディアも出ました。
しかし、役員Yさんの考えは違いました。
ブログ記事を書くことが苦手、難しい、よくわからないというスタッフがいるから、インセンティブがあったとしても、なんのフォローもなく「記事を書いてね」ではうまくいかないと思う。
だから、せめて最初の一ヶ月は、毎日10分zoomをつなげて、みんなで記事を書く取り組みをしたらどう?
わからないことや書き方をフォローしあいながら、記事を書くことに慣れる期間があればうまくいくと思う。
まずブログを書くことのハードルって、やったことない人にはとても高いんですよね。何を書いたらいいのか、どう書いたらいいのかわからない、という人は全く書けない。
それが1日10分だけ、しかもみんなで一緒に相談しながら書ける、というのは無理がなく、安心感があり、そのハードルを下げることにつながります。
また、わたしの会社では毎朝zoomで一日のスケジュールを共有していたのですが、その時間をブログに当てることにしたので、業務的な負担感も感じない体制ではじめることができました。
この「みんなでやる一体感」と、「負担の少ない強制」が、長年の課題だったブログ記事を書き続けることができる仕組みを生み出したのです。
具体的なブログの書き方とスタッフの反応
実際にどのようなルーチンと、取り組みで、1日10分ブログをやっていったのかご紹介しますね。
まず、毎朝の流れは以下のような感じです。
1.最初は日直の人の「最近よかったこと」の共有
(これは前からやっていた取り組みです)
2.その日の連絡事項の確認
3.ブログスタートの前に、今日どこまでやるかを簡単にチャットで共有
例えば、「1セクション書き終える」など
4.記事を書くときは、zoomのカメラは切ってミュートにする。
5分経ったら「5分経ちました」、10分経過で「時間になりました」で終了
5.質問や感想など、2〜3人くらい話をして終了
ちなみに、最初の頃は、ブログ記事をよく書いているIさんによるレクチャーや質問だけの日をつくったり、1週間に1度くらい感想や質問を共有する時間だけにしたり、ちょっとした変化やサポートを取り入れながら進めています。
また、グーグルスプレッドシートで、各自がどんな記事を書いているのか、いつ頃アップできそうか共有するようにしました。
最初は不安げな感じだったスタッフですが、「私本当に何書いたらいいかわからないですよ〜」とか「全然進まないので1記事書くのに3ヶ月くらいかかるかも…」と気軽に言い合える環境がよかったようです。
今では「みんなでやるのが楽しい」「このまま続けたい」という感想もたくさん出るようになりました。
10分という時間は本当にあっという間ですが、「毎日確実に進んでいる」「書いたものが残っていく」という実感が、「書ける」という自信につながっているようにも思います。
本当は1ヶ月みんなでやったあとは、「週替りで1記事ずつアップする」という形に移行しようと思っていたのですが、みんな「このまま続けたい」という意見が多く、このやり方は本当に正解だったなぁと思います。(発案してくれたYさん本当にすごいです)
予想以上に、この記事を書く時間は楽しく、みんなで一緒に取り組んでいる充実感を感じながら、たくさんの記事を書いていけています。
1日10分ブログ習慣のまとめ
長年の課題だったブログの更新が実現できて、改めて「習慣化」とそのハードルを下げることの効果を感じました。
わたしのアイディアではありませんが、この取り組みはスティーブン・ガイズの『小さな習慣』という本で紹介されている方法を地で行くものだなと思います。
ただし、この本には「みんなで取り組む一体感」という要素はありません。
実はわたしはこの本を読んで、苦い失敗をした経験があります。
2〜3年前に、「WebディレクターからWebデザイナーに転向したい、だけどデザインをやる時間がない」と言っていたスタッフのMさんという子がいました。
わたしは「毎日10分でもいいからデザインの勉強しよう」「ちょっとずつでも必ず結果になる」と言っていたのですが、「それでは意味を感じない」「もっとまとまった時間がないとできない」と明確に拒絶された経験があります。
きっとこのとき、「一緒にやろう」「サポートするよ」という姿勢がかけていたのだと思います。
※ちなみにMさんは、その後新しいスタッフに無事仕事を引き継ぎ、デザイナーに転向しました!ブログ記事も毎日みんなと一緒に取り組んでくれています。
みんなが一律のスピードでなくても、記事の書き方がバラバラでも、一緒に時間を共有しながら、少しずつ進めること。
これが1日10分、会社という組織でブログ記事を書く習慣が成功した理由だと思います。
なかなかブログで情報発信ができないという方の参考になれば嬉しいです。