「コーチング」という言葉をご存知でしょうか?
一般的には「コーチ」は、主にスポーツを指導する人という意味で使われていますよね。
しかし最近、ビジネスの現場で使われるようになってきた「コーチング」や「コーチ」は、少し役割が異なります。
もっとも大きな違いは、技術を「教える」のではなく、潜在能力を「引き出す」こと。
わたしの会社でも、月に一回おこなってる1on1の目標面談の取り組みなどを通じて、このコーチングの必要性や有効性を強く感じるようになってきました。
そこで今日は、まず「ビジネスコーチング」とは何か、実際に受けてみた感想を交えて、改めて考えてみたいと思います。
コーチングとは何か?
Wikipediaによると次のように記述されています。
1.運動・勉強・技術などの指導をすること。
2.促進的アプローチ、指導的アプローチで、クライアントの学習や成長、変化を促し、相手の潜在能力を解放させ、最大限に力を発揮させること目指す能力開発法・育成方法論、クライアントを支援するための相談(コンサルテーション)の一形態。
出典:wikipedia「コーチング」
簡単に言うと「コミュニケーションを通じて人の力を引き出す」というのがコーチングの役割です。
能力向上という意味ではティーチング、人の話を聞くという点ではカウンセリングと似ているところもあります。
コーチング | ティーチング | カウンセリング | |
目的 | 支援 | 解決 | 治療 |
方法 | 人が持っている能力を引き出す | 指導者が持っている能力を教える | 悩みや障害を解決する |
効果 | 汎用性が高い | 部分的 | 部分的 |
対象 | 心理・精神 | 技術・スキル | 心理・精神 |
コーチングとティーチングの違い
ティーチング(教える)はもっとも直接的な能力向上に役立ちます。
しかし、指導者は「教える内容」を熟知している人である必要がありますし、受ける側も、基本的には「教えられたこと」しかできるようになりません。
対してコーチングは、コーチが必ずしも「教える内容」を知っている必要はありません。受ける側自身の中にもっている能力や可能性を引き出すことが目的だからです。
例えば、デザインの制作方法はティーチングで向上します。しかし、「いいデザインをつくれるようになりたい」という意欲を引き出したり、「自分のデザイン力の強みの発見」には、コーチングが効果的です。
また、意欲向上やものの見方への気づきは、デザインだけでなく、他のケースにも活かすことができる汎用性があります。
ティーチングでは「技術的な能力向上」という意味合いが強く、コーチングは「精神的な能力向上」とも言えるでしょう。
コーチングとカウンセリングの違い
コミュニケーションを通じて精神的な能力を向上するという意味では、コーチングとカウンセリングは密接な関係があります。
ただし、カウンセリングは「生活や暮らしの悩みを解決する」というマイナスをゼロの状態に回復するアプローチです。
対話を通じてその人の悩みによりそい、心の負担を和らげます。
一方カウンセリングは、ゼロからプラスの状態に能力を引き出すアプローチ。コミュニケーションによって、今までにない自分の能力や可能性を開花させていくことを目的としています。
もともとコーチとは「馬車」のこと。人を目的の場所まで連れて行く、つまり目標達成を手助けすることを目的としています。
実際にコーチングを受けて学んだこと
さてわたしの会社では、半年ほど実際にチームコーチングと個人コーチングを受ける機会をいただいたことがあります。他にも、他の会社さんと一緒に研修を受ける機会をいただきました。
その中で特に印象に残っているのが、「パラダイム」という考え方です。
パラダイムとは、簡単に言うと「価値観の枠組み」のこと。
「こういう人はこう考えている」
「このケースではこれが最適解」
「自分の限界はここまで」
人はさまざまな経験から見えないガラスの壁のようなものを作り、思考せずに「常識」を作り上げているという話。特に、自分の能力に関する限界は、「わたしはここまでできれば十分」というように自分で決めてしまっているそうです。
この「価値観の枠組み」に気づくことができれば、その壁を越えて能力を更に高めることができるとのこと。(パラダイムシフトというらしいです)
もうひとつ学んだのは「質問の重要性」です。
わたしは問題が発生したとき、ついスタッフに「こうしたらいい」「こうするとうまくいく」とアドバイスをしがちなのですが、そのケースやそのスタッフにとって、本当にそれが正解かは実はわかりません。また、スタッフは言われた通りにしないといけないプレッシャーを受けます。
そこで「どうしたらいいと思う?」と聞くことで、スタッフは自分で考えて、より主体的な行動をすること、つまり「気づき」を得ることができます。
※このエピソードは1on1に書きましたのでよろしければご覧ください
というわけで、コーチングはビジネス上もとても必要とされているスキルだと感じています。
特に管理職やマネージメントに関わる人は、身につけるととても実践的に役に立つ機会が多いのではないかと感じています。
最近のコーチングの本では、『1兆ドルコーチ』という本がとてもおもしろかったです。Appleやgoogleの創業者らをコーチングしたビル・キャンベルという伝説的なコーチのお話。
もしコーチングに興味を持たれたならぜひ読んでみてください。