「繊細」「内向的」な社員が活躍できる会社をつくろう

どこの会社にも、とても繊細で内向的な社員さんが一人はいるのではないしょうか。
そういう人は、外交的な人からは付き合いづらいと感じられるかもしれません。

「細かいことを気にしすぎる」
「考えてばかりで行動が遅い」
「傷づきやすくて付き合いにくい」

こういう人が会社員だとすごく苦労しそうだなと思います。
一般的には気にもとめないことに、なにかリスクがないか深く考えちゃうんですよね。

ただ、繊細で内向的な人が「会社員に向いていない」かと言うと、そういうことはありません。
むしろチームワークとして考えれば、繊細・内向型の人が一人チームにいると、欠かせない存在になるだろうなと思います。

今日はそんな社員の人と、周りがどう付き合うといいのかを考えてみたいと思います。

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繊細で内向的な社員ってどんな人?

わたし自身も人付き合いが苦手な内向型のタイプだと思っているのですが、そんなわたし以上に、繊細で内向的な人がいるということを、実は妻さんと付き合ってから知りました。

というのが、妻さんは本当にとんでもなく繊細で敏感なのです。

  • 刺激に敏感で、人混みや大きな音、チカチカする色がとても苦手
  • 共感力が高く、他の人がどう思っているかをすごく気にする
  • ちょっとしたことでもすごく深く考える、先々を考える
    相手の態度にはこんな意味があるのでは?と深堀りする

ちなみに最近は、こういう人のことを「HSP(High Sensitive Person)」と言ったりすることもあるようです。ただ、医学的な定義が定まっておらず、解釈も曖昧なので、ここでは「とても繊細・内向的な人」という形でご紹介したいと思います。

繊細で内向的な人は仕事が遅い?

妻さんを見ていて思うのは、(わたしから見ると)とても仕事が遅いように感じるということです。

例えば、メールひとつ返すのも「相手が気持ちを害さないか」「ちゃんと意図が伝わるか」などを考えてしまって、ものすごく時間がかかります。

他にも、「相手に話をするタイミングを、すごく気を使って考えてしまう」「ちょっと困っていると言われたことを、どうにか解決できないか一人でずっと考えている」「事務的に声をかけられると、嫌われているように感じて落ち込んでしまう」などなど。

多くの人が「気にもとめないこと」にものすごく精神と時間を消耗してしまいます。
だから「このひと仕事遅いな」「気にしすぎ」と思われてしまうことも多いようです。

じゃあ本当に仕事が遅いのかというと、実は受ける印象とは裏腹に普通の人より早いことがあります。

それはなぜかと言うと、「ミス」や「やり直し」が驚くほど少ないのと、仕組み化できることは徹底的に仕組み化する傾向があるからです。

繊細で内向型の人に「ミス」や「やり直し」が驚くほど少ない理由

繊細で内向的な人は、他の人が気づかないことや、気にとめないことでも、とても注意が向きます。
また、相手を傷つけたくないという気持ちから、責任感がとても強い傾向にあります。

だから、ミスや失敗をしないようにとんでもなく気をつけています。

先の例をあげれば、メールを何度も推敲して見直す。手紙を郵送するときに、中身がちゃんと揃っているか、何かゴミが入っていないか、しっかり確認することを怠りません。

実際にあった例なのですが、以前妻さんがやっていた印刷物の入稿作業を、わたしが引き継ぎでやることになりました。

わたしは妻さんのデータをもとに入稿をしたのですが、パンフレットの折り位置指定をミスして、なんと数百部の印刷物を刷り直したことがあります。

妻さんはミスがないか何度も確認するようなことを、わたしはろくに確認せずに入稿してしまったのです。(単にわたしの注意不足かもしれませんが…)

このように、結果的に手戻りが少なくて、確実に業務を遂行する能力をもっています。

仕組み化できることは徹底的に仕組み化する

繊細な人は、自分が繊細で傷つきやすいことを自覚しているケースが多いようです。
このため、「余計なことに精神を消耗したくない」という気持ちが強く、一度受けたストレスを二度と受けないように回避しようと考えています。

だから、「仕組み化」「ストレスの根を絶つ」ことにこだわります。

妻さんの例で言えば、マニュアル化が徹底されています。

メールでこういう連絡がきたら、この定型文を返す。この質問に対しては、これを返す。そもそもこういうメールや質問がこないように、あらかじめこういう案内を出しておく。

わたしが驚いたのは、「そもそも」という問いがとても多いということです。

普通はなにか問題が起きたら対応して終わりです。
しかし繊細・内向型の人は、その「対応」にすごく精神を消耗します。だから、「対応」しなくていいように、問題が起きないようにどうしたらいいか、とてつもなく深く考える傾向があります。

その結果、「そもそも」がとても多い。

普通の人ならいちいち考えない無意味な慣習や伝統についても「そもそも、これいらないよね」「そもそも、目的を考えるとこうした方がいいよね」と遠慮なくメスをいれます。
なかなかこういった思考をできる人はいません。

その結果、問題自体が発生しないような仕組みを根本からつくりあげることが得意なのです。

繊細な内向型の人が苦手なことを理解する

繊細で内向的な人は、得意なことと苦手なことが、とてもはっきりしているように思います。

得意なことには他の人にない力を発揮できますが、苦手なことを無理にやらせると、とてもストレスになり、仕事も全然うまくいきません。

一緒に仕事をする際には、この「苦手なこと」を、本人も周りの人もしっかり理解することが重要だと思います。

例えば、臨機応変に対人対応をしないといけない「電話応対」「営業活動」はとても苦手な分野でしょう。

他にも次のようなことが考えられます。

  • スピードを求められる急ぎの仕事。時間に余裕がないと考える時間が取れずに焦ってストレスになります。
  • 予定外のイレギュラーが発生する仕事。計画通りにできないことに、人一倍ストレスを感じます。
  • 接客、対人の仕事。特に初めて会う人や、多人数を相手にすると気を使いすぎて精神を消耗します。
  • 衛生的ではない仕事。リスクを考える繊細・内向型の人にとっては、ストレスフルになります。

人は誰でもある程度こういうことにストレスを感じるものですが、繊細な内向型の人は割り切ることが難しいので、最悪の場合は離職につながることも考えられます。

苦手なことを理解して、得意なことを任せることが、繊細で内向的な人が会社で活躍するためにはとても重要なのです。

「気にしなくていい」は効果がない

もうひとつ気をつけたいのは、「気にしすぎ」「そんなに気にしなくていい」という言葉には全く効果がないどころか、余計にしんどくさせるということです。

実際に、わたしも妻さんによくそういう声かけをしていたのですが、そのときに言われた言葉がとても印象的でした。

気になることを、気にしないなんて無理。例えば、今にも崖から落ちそうな人が見えているのに、「気にするな」と言われて無視することなんてできないでしょう?
それと一緒で、わたしには見えていることを、見えないことにはできない。

いや確かにそうですよね。言う方は「どんまい」と言う意味合いで使っていても、それができないHSPにはかえって「どうしたらいいの…」と困らせてしまうようです。

会社にいる繊細で内向的な社員との付き合い方まとめ

ここまで読んで、ひょっとすると「面倒な人だな」「仕事を任せるのはやっぱり大変そう」と思われた方もしるかもしれませんね。
でも、そう思うのは少し待ってください。

なぜならチームワークとして見た場合に、とても繊細で内向的な人がいることは、大きなメリットがあるからです。

実際にわたしが妻さんとお付き合いする中で感じたことですが、繊細で内向的な人は信頼関係がしっかりできると、「相手のためになにがきるか」をとても親身に考えてくれます。

何か困ったことを徹底的に解決しようとしたり、万一のリスクを回避しようとあらゆる備えをしたり、常識にとらわれない発想でアドバイスをくれたり…。

とにかく普通の人では感じられないセンサーで、ユニークな視点から様々なアドバイスをくれます。この思考の深さは、そもそも普通の人が感知できない繊細さによって成り立っていると感じます。

また、無意味な慣習や伝統にとらわれない一方で、コンプライアンスなどの遵守意識がとても強く、人を傷つけたり、法に外れるような不正をとにかく嫌います。

だから革新的なアイディアを持ちながら、一方で人の道に外れたことは絶対にしません。
もちろん繊細で内向的な人の中にも、それぞれ性格やタイプはあると思います。しかし、基本的には人として信頼できるタイプだと感じます。

手前味噌ですが、わたし自身、妻さんの様々なアドバイスやサポートで、仕事でたくさん成功したり、大きな失敗を防いでくることができました。

こういう人は会社やチームに一人いると、考え方の多様性が広がり、失敗を防ぎ、今までにないアイディアが出てきて、チームワークがとても活性化するのではないかと思います。

繊細で内向的な人が活躍できるかどうかは、周りの人の理解に大きくかかっているのです。

繊細で内向的な人に限らず、いろいろな人が働きやすい会社をつくることは、きっとあなたの仕事やチームワークにもとてもいい結果をもたらすと思いますよ!

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プロフィール
cotau

とあるWebマーケティング・制作会社の役員をしています。このブログでは、私たちの会社のリモートワークやチームビルディングの取り組みを発信していきます。

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