cotauの会社はWeb制作会社なのですが、最近「営業を外注パートナーさんにお願いしよう」という話が検討にあがっています。
もともと「営業」という職種が存在していないというのもありますが、実際のところ「営業に向いている人がいない」ということが一番大きい理由です。
性格的に、cotauの会社のメンバーは、どちらかと言うと内向的・インドア派・文化系の人が多いのです。
だからこれまでの営業も、「ご紹介」での受注が多く、新規さんも「問い合わせがあれば対応する」というスタイルです。こちらから積極的に営業活動を行うことはしてきませんでした。
また新しいクライアントに対しても「これが成功する方法です!」と押すと言うよりは、相手の話をまずしっかりとお伺いして、それぞれのご事情に合わせてカスタマイズしたご提案を行う形が基本です。
そうすると、なかなか新規開拓に回ったりすることは難しいんですよね。能動的というよりは、受動的に動くスタイルの人が多いのです。
だからスタッフの人数が増えて、さて新規開拓をしていこうとなったときに、どうやっていったらいいのか、なかなかいい形ができませんでした。
そんな時に、前社長から「今の会社は、社長はじめ性格的に営業に向いていないよね。だから営業外注したら?」と言われたのです。
正直「営業を外注する」というのは、昔に検討議題にあがったことがあるものの「それは難しい」と結論を出していました。それ以来「盲点」になっていたので、ちょっとした衝撃でした。
改めて(今は社外の人から)客観的に言われて「そうだウチは営業向いている人いないんだ、そして外注という手があったか!」という感じです。
社長が変われば、組織の性格も変わる
前社長は、とにかく人脈が広くて、様々な集まりに顔を出しコネクションをつくる、そういう人付き合いが大好きな方です。
だから会社の創業期に仕事がつくれたのは、ほとんど社長の繋がりが起点になって、ディレクターが一緒に訪問してサイトを作っていくという感じでした。
さてある程度クライアントの数が増えてから、現社長に交代となったわけですが、現社長は真逆のタイプです。
とにかく人の話を聞く「傾聴力」が抜群で、スタッフに対しても自分からはあまり話をしないのですが、相手の話をしっかり聞いて、誠実に応える。責任感があり、クライアントからこれほど信頼される人もなかなかいないなぁと思います。
しかし、経営者の集まりだったり、交流会だったり、そういった人がたくさん集まる場で積極的に交流するのは苦手です。
(前社長にすすめられて入った会員制交流会も、早々に退会してしまいました)
今のメンバーはそういう現社長のもとに入った人たちばかりなので、どちらかと言うと穏やかで優しく、受け身で誠実、というのが会社全体の性格のようにもなっています。
実際「◯◯さんの人たちは、みんなとても丁寧でレスポンスが早いですよね」とよく言われます。
裏返すと、自分から積極的に新規顧客にまわったり、具体的な用件もないのに「最近は調子どうですか?」と人とのコネクションを築いていくのは苦手なのです。
ダイバーシティーを中小企業で実践するのは難しい
Webディレクターという仕事柄、cotau自身も、いろいろな中小企業の経営者さんと話をする機会があります。
その中で思うのは、やっぱり会社ごとに性格があるよなということです。
例えば、いつも元気な挨拶をしてくれる営業会社や運送会社、理知的でロジカルな説明を好むコンサル会社やシステム会社、ラフなお付き合いが好きなサービス会社…etc
「われわれ」「ウチ」「弊社」など、一人称にも違いが出ていて面白いなと思います。
さて、そんな中小企業の中で「異質な人」が馴染むのは難しいのではないかというのが1つ思うところです。
例えば内向型が多いcotauの会社でも、最初期に営業を任せていた方がいたのですが、「話はもってくるけど適当」「認識が噛み合っていない」など、トラブルが多かったです。
個人的にはその人は好きなのですが、仕事となるとうまくいきませんでした。
また、これまでの採用活動の中でも、「社内の人間と大きく違うタイプ」の人は、なかなか社長がウンと言いませんでした。いろいろ理由はありますが「ウチと合わない」というのが理由です。
組織のあり方としては、多様性があった方が変化に強く、いろいろな意見が出るのでイノベーションにもつながりやすい、ということがよく聞かれます。
実際cotauの会社もその形を理想として目指したいところです。
しかし現実問題、特に中小企業では、なかなか会社の文化に馴染めない異質な人が、うまくやっていくのはお互いに難しい面もあるのではないかと思います。
コミュニケーションコストが高くなったり、早期退職に繋がる可能性など、経営という意味では「異質な人」を迎え入れるリスクは無視できません。
そしてその代償として、会社の性格としての「向いていないこと」が発生してしまうのもまた必然ではないかと思うのです。
パートナーという協力関係で、社会全体の多様性を維持するという選択肢
そういうわけで、「性格的に苦手な営業を外注する」という選択肢が、ひとつの有力な解決策ではないかということになりました。
組織論のあり方として、「各メンバーの強みを伸ばし、弱みは共有して助け合う」「苦手なことは無理にせずに得意な人に任せられるようなチームワークをつくる」というものがあります。
これはチームのあり方なわけですが、人数の少ない中小企業としては、会社同士のあり方として考えてもよいのではないか、というのが今回のひとつの発見でした。
制作が得意なところは制作に集中し、営業が得意なところに営業活動を助けていただいて、お互いにWin-Winな関係をつくることができれば、企業同士の多様性は維持されるわけで、これは結局今の社会そのもののあり方でもありますよね。
苦手なことを社内で無理してがんばるよりも、得意なところと手を組んでやっていく、当たり前のようでいて発想から抜けていました。
これを機会に、改めて社内でやること・社外に任せた方がよいことを洗い出し、パートナーとの関係をしっかり作っていきたいと思います。
「そもそもこれ社内でやる必要がある?」という発想、大切にしたいです。