IT関連は比較的リモートワークがしやすい業態なこともあって、cotauのいるWeb制作業界でもリモートが当たり前になりつつあります。
それでまでも、遠距離のクライアントとのやり取りはありました。でも、これだけテレビ会議への理解が広がると、別に近場のWeb制作会社でなくてもいいよね、ということにはなっているようです。
仕事を獲得するという意味では、地方のWeb制作会社にとって歓迎な一方で、実はそれ以上に重大な副作用が地方の制作会社にはかかってきています。
それは「都心への人材の流出」です。
名もなき制作会社が都心のホームページ制作を受けることはまだまだ難しい反面、地方のWebデザイナーやクリエイターにとっては、東京のWeb制作会社に属する方が、圧倒的に高単価の仕事を獲得することができます。
今日はそんな地方のWeb制作会社が、実際に求人で困ったことについてレポートします。
地方への人材流出を実感した「リモートワーク人材の募集」
cotauのWeb制作会社では、現在3名ほどフリーランスの方に、週3〜4日業務に入っていただいています。フリーランスの方を紹介いただくクラウドテックというサービスを通じて契約させていただきました。
お願いしてからもう3年ほどになりますが、おかげで社内スタッフの負担は減り、制作に必要な体制をしっかり作ることができるようになって会社の残業を大きく減らせたという経緯があります。
そんなフリーランスの方々は、cotauの会社がリモートワークをはじめる前から完全リモートでアサインいただいていました。当時はそういうWeb制作会社がまだまだ少なかったため、cotauの会社の応募は結構人気だったようです。
いろんな地域の方々にエントリーいただいたおかげで、スキルもお人柄もcotauの会社と合うフリーランスの方と一緒に業務をさせていただくことができました。
ところが3年続いたフリーランスの方との契約が、お互いにいろいろな事情があり、2020年12月で契約が切れることになります。(ちなみにお互いにとても円満な解約でした)
残念ではありますが、次の人を探す必要があり、またクラウドテックさんに新しくフリーランスの方を紹介してもらうことになりました。
…が、なかなかお互いにマッチするエントリーがありません。
わずか半年の間に激変した、地方から都心への人材流出のためだったことは、その後クラウドテックの担当者さんの話からわかったことです。
なぜ地方のWebクリエイターは都心の会社と契約をするのか
2020年の緊急事態宣言後、都心・地方に関わらずWeb制作会社は急激にリモートワーク化が進みました。cotauの会社も例にもれず、このタイミングで一気にリモートワークになったわけですが、これは求人需要も同様で、それまで「週2〜3回の出社勤務」だったものが「完全リモートワークでOK」となってしまったわけです。
リモートワークの人が増えたから、求人応募は増えるだろうと思っていたのですが、実際にはフリーランスの人にとってはもはや「完全リモートワークで働ける」という募集用件は当たり前になってしまい、魅力ではなく前提条件になってしまいました。
そして都心と地方という競争がフラットになってしまうと、次に基準になるのは「時給」と「仕事内容」です。
もちろん時給は圧倒的に東京の方が高いので、地方のWeb制作会社の単価では太刀打ちできません。しかも知名度やブランドのある東京のWeb制作会社には、名もない地方のWeb制作会社とわざわざ契約したいという人は限られくるわけです。
というわけで、cotauの会社の募集はもはやあまり魅力もないものになってしまいました。
なんとかギリギリで新しい人に入ってもらえた理由
なんとか新しい人に入ってもらわないといけない状況だったので、cotauの会社では次の2点を見直しました。
時給
今までの基準を捨てて500円ほど許容範囲をアップ
スキル
「Webエンジニアかつデザインをできる人」という欲張りな要求から、「コーディングやシステムができればOK」に変更
また並行して、クラウドテックさん以外でフリーランスやアルバイトなどに入ってもらえる人を探そうという動きも行っていました。
結果的には、条件を見直したことで本当に年末ギリギリに新しい方が決まり、無事1月から稼働していただけることになったので、業務に穴が空かずに助かりました。
ちなみにうちに決めていただいた理由は面談の感じがよかったからだそうです(わたしはこの面談に入っていませんが)。スタッフの人柄いい人ばかりでほんとよかったなぁと思いました。
地方の制作会社は、反転攻勢をかけられるのか?
アフターコロナの世界でも、恐らくIT関連の人材はリモートワークによって、東京など大都市の企業に人材の集中が続くのではないかと思います。
価格格差がもたらすこの傾向に、地方のWeb制作会社に打つ手はないのか?というとそうでもないと思っています。
リモートワーク、リモートでのやり取りが一般化していけば、都心のクライアントの中には「同じクオリティなら、単価の安い地方の制作会社に依頼しよう」という動きが出てくるはずです。(既にでてきていると思っています)
地方のWeb制作会社にとっては、これまで都心に集中していた高単価のWeb制作を、地方以上の単価で請けることができるチャンスとも言えます。
逆に、人件費などに大きなコストがかかる東京のWeb制作会社にとっては脅威です。
ただ、そのときに「現地での営業」「紹介や口コミ」あるいは「ブランド」がなければ、やはり検討の机上にあがることは難しいでしょう。
技術や結果を出すことはもちろん、東京の営業会社などにコネクションを作ったり依頼をする、またはWeb上でしっかりしたブランドをつくるということが、今以上に求められていくことになると思います。
これからのweb制作会社は、自由な働き方やチームワークが成長の鍵
最終的に、都心と地方は、仕事でも人材でもフラットな競争にさらされていくことになると思います。今でも参入障壁が低く、各地に乱立しているWeb制作会社にとっては、大きな淘汰を迎えることになるかもしれません。
そのときに、自由な働き方ができて魅力的な人材に来てもらえたり、リモートワークでもしっかりとしたチームワークができる会社は、人材獲得でも、業務効率の面でも、大きなアドバンテージを得られると考えています。
「働き方改革という時代に合わせて」という建前ではなく、本当にスタッフ個々人がしあわせになるような働き方やチームワークをつくっていくことが、会社の成長や未来にとっても欠かせない要素になってきているのです。