- 対象
- 全スタッフ
- 難しさ
- 低
- 実施時間
- 約1〜2時間/月
- コスト
- 月250円/人くらい
- 主な内容
- 仕事のやり方、社内の制度など、小さくても改善したいことを募集
- 改善提案を出してくれた人に、採用可否に関わらず500円/件を支給
- 提案は全スタッフに共有、検討の場を設ける
- 効果
- 様々な立場からのアイディアで、仕事がやりやすくなったり成果が出やすくなった
- スタッフが会社に愛着を持てるようになり、エンゲージメントが高まった
- スタッフの立場を越えて、率直な意見交換がしやすくなった
スタッフによる主体的な会社づくりを支援する
会社のスタッフから、「会社をこうしたい」「こういう仕事の仕方がしたい」などの希望があまり出ない…ということはないでしょうか。
いわゆる指示待ちで、会社に対する愛着を感じない状態。どうせだったら、どんどん意見を言ってもらって、スタッフのみんなにとっても働きやすい楽しい会社にしたいですよね。
わたしの会社でも、昔はみんなから会社や制度について自主的に意見をもらうことはあまりありませんでした。当時は、ついつい「それはよくないんじゃない?」などの否定的な意見を言ってしまうので、あまり言いづらい雰囲気だったのかもしれません。
あなたの会社でもいろいろ原因はあるかもしれませんが、そんな空気をぶち壊すことができたのが、改善提案を出してくれた人に、採用・不採用に関わらず(!)1件につき500円を支給するという制度です。
この制度は『ほとんどの社員が17時に帰る 売上10年連続右肩上がりの会社』という本で実際に紹介されていた方法で、cotauの会社では2018年頃に導入したと思います。今日はそんな制度を取り入れることでどうだったのかご紹介します。
具体的な制度の内容
この制度の内容はとてもシンプルです。
1.みんなが改善提案を記入できる場をつくる
cotauの会社では、kintoneというアプリで改善提案を閲覧・記入できる場所をつくりました。クラウドアプリでスタッフが自由にアクセスできるので、とても便利です。
さらにここに記入すると、チャットワークという社内のチャットアプリに自動的に通知が届くようにしているので、誰がいつ何を提案したのかリアルタイムに把握できます。
この通知の仕組みは意外と重要で、「あ、そうそう私も提案したいことがあった」とちゃんと改善提案が機能していることを周知することができます。(驚かれるかもでしてませんが、通知の仕組みがなかった初期は、この制度の存在自体、忘れられることが多かったのです)
無料で使えるGoogleフォームやGoogleスプレッドシート、はたまたメールでも結構ですが、しっかり情報を共有・集計する仕組みをつくりましょう。
※cotauの会社では当初Googleフォーム→GoodJob!というアプリ→kintoneと変遷しました。Googleフォームだと誰がいつ投稿したかわかりづらいのですが、スプレッドシートに自動書き出し&通知メールを出す仕組みを作ればいけるかもしれません。
2.定期的にスタッフを含めて話し合いの場を設ける
はじめて初期の頃は、この提案を話し合う場が役員会しかなく、他の議題に押されてせっかく出してくれた改善提案が放置される状態が続きました。
それを解決するため、月1回改善提案をスタッフ間で話し合う場をつくりました。予算に関わることは役員の判断が必要な場合もありますが、ほとんどのことはむしろスタッフ間で話し合う方が早いしスムーズです。
cotauの会社では、話し合いの結果や今後の改善点などは、kintoneのアプリに記入しています。社内にもしっかり周知しましょう。
3.表彰の機会をつくる
内容を話し合う機会とは別に、月1回誰が何件改善提案してくれたのかを発表し、表彰する機会をつくっています。(リモート体制になる前は、ここでお金も渡していました)
どのような内容であれ、会社や仕事をよりよくすることを考えてくれたことは実際とても嬉しいですし、感謝しかありません。また、本人だけでなく他のメンバーにも「いろいろ提案していいんだ」「自分のやりやすいように改善できる」という前向きな気持ちをもってもらえればと思っています。
実際にどのような改善提案が何件くらい集まったのか?
2020年現在、この改善提案制度はスタッフ+役員の11名で運用していますが、最近の改善提案の数は大体下記のようになっています。
年月 | 提案数 | コスト |
2020年12月 | 7件 | ¥3,500 |
2020年11月 | 3件 | ¥1,500 |
2020年10月 | 4件 | ¥2,000 |
こうしてみると、大体スタッフ一人あたり0.5件/月くらいで、そこまで大きなコストがかかっていません。(逆にもっと出してほしいくらいです)
一方で内容については、ほんとに様々な提案があがりました。いくつかご紹介してみますね。
有料zoomの利用案内(Googleカレンダー)
社内に有料zoomアカウントがひとつしかなく、いつ誰が利用するかわかりづらい。打ち合わせなどの予定で利用がかぶらないようにGoogleカレンダーの予定の頭に★をつけてわかりやすいようにする。
目標管理を毎日10分みんなでやる
日々の業務に追われてなかなか目標に取り組めない人に、希望者だけブログのように毎日10分zoomをつないで一緒にやりませんか?
リモートワークのおとも募集
3月から完全リモートワークが始まり、最近はコロナの影響もあり人と会う機会が無くなり、とても心寂しい思いで仕事をしております。いつでも話しかけてくれてもいいよ~というスタイルでZoomを繋げてミュート状態(画面オフでも構いません)で一緒に仕事するのはどうでしょうか?
できれば週1くらいで2~3時間くらいやってみたいです!
出たり入ったりも自由で気軽にできればな~と思っています。
cotauの会社の場合は、業績に直接関係あるものから、単純な仕事フロー、はたまたちょっとした思いつきまでなんでもOKというスタンスです。
ちなみに、不採用についても「対応の必要が別件でなくなった」「状況が変わったので保留」といったものが多く、「反対多数で不採用」ということはほとんどありません。
結果として、スタッフが「自ら考えてよりよくする」という形をつくれていけているのではないかと思います。
改善提案500円制度のまとめ
提案の採用・不採用に関わらず500円というのは、当初役員の間でも「高すぎるのではないか」「採否に関わらずというのはどうなのか」「インセンティブでの動機づけはどうなのか」という懸念がありました。
しかし、やってみた結果は「とてもよかった」というのが感想です。
数々の提案によって会社や仕事がよりよくなっただけではなく、何よりスタッフが積極的にものごとを改善しよう、会社をよくしようと思ってもらえたことが一番うれしい効果でした。
また、cotauの会社の給与水準は、他社と比べて決して高くないと思っています。500円という金額は、それを補完する意味でも、ある意味で成果報酬としてどんどん提案してもらえればと思っていました。
が、実際のところ改善提案以外でも「提案」をしてもらえるシーンは多くあり、cotauから「これ、改めて改善提案に出そうよ」と声かける機会が度々ありました。
このことから、スタッフは決してお金だけが目的ではなく考えていくれているのだということを感じています。
cotauの会社では、2019年初頭から既に2年続いており、今後もぜひ続けていきたいと思っています。
スタッフからが主体的に会社にコミットしてくれない…という会社さん、ぜひ試してみてください!
改善提案500円制度の参考資料
ほとんどの社員が17時に帰る10年連続右肩上がりの会社
「離職率100%、定時は終電」という超ブラック企業の取締役だった著者が、残業なしで売上をあげる会社を作った方法が書かれている本。単に残業なしというだけでなく、スタッフが生き生きと働ける会社にするにはどうすればいいのか、ということが詳細に書かれていて、わたしの会社づくりに強い影響を与えた本です。
この改善提案だけではなく、この本で紹介された制度は、かなり取り入れさせてもらっています。おすすめの本です。