コミュニケーション

1on1目標面談

3.5
対象
全スタッフ
難しさ
実施時間
月1〜2時間/人
コスト
特になし
主な内容
  • メンター/メンティーのペアを決めて、月1回目標面談をする
  • 話を楽しく聞くことを大切にする
  • カフェや公園など、面談の場所を変える
  • 助言ではなく、質問をする
  • 3年後の「なりたい自分像」を一緒に探る
  • 会社の目標と、個人の目標をすり合わせる
効果
  • スタッフの目標達成度が20%以上アップした
  • 自らキャリアップに取り組んでくれるようになった
  • 会社・個人の目標とも、意義をもって楽しく取り組めるようになった
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スタッフ一人ひとりと向き合い、キャリアアップを手助けする

スタッフ一人ひとりについて、「将来どのようなキャリアアップを考えているのか」「どういった働き方をしたいのか」を知ることを、大切に考えている方は多いかと思います。

少し前なら、いわゆる「飲みニケーション」などで、スタッフと意思疎通を図られる方も多かったかもしれません。
しかし、リモートワークの普及やワークワイフバランスなどから、そのようなコミュニケーションはとても難しくなってきました。

(実際、わたしは飲まないタイプで、子育てのために終業後はすぐ帰っています)

そこで、わたしの会社では「目標面談」という1on1の面談を月に1回行っています。

この面談は、業務上の直接の上司・部下との関係とは別に、「メンター」「メンティー」という制度で行われています。キャリアのあるメンターが、メンティーの話を聞いて、彼らの目標達成やキャリアアップを支援するという内容です。

この面談を行うことで、スタッフとの相互理解が深まり、スタッフが自らスキルアップやキャリアップに取り組んでくれるようになりました。

なにより、毎月の面談でいろいろな話しをすること自体が、とても楽しい時間になっています。

今日はそんな1on1目標面談の効果や、具体的な方法についてレポートしたいと思います。

目標を立てても、支援と理解がないと取り組めない

業績目標・キャリア目標は、評価制度の一部になっている

わたしの会社では、半期ごとに「業績目標」「キャリア目標」などの達成目標をスタッフが自ら定め、その取り組みと結果を評価する仕組みがあります。

各目標を設定する時には、サポート役にあたるメンターと、目標に取り組むメンティーとで話し合いを行うのですが、この評価制度がはじまった時は、1on1の目標面談は行っていませんでした。

最初の目標決めと、最後の評価は行うものの、半期6ヶ月の間は、スタッフは自分だけでこの目標に取り組まなくてはなりません。

結果的に、当時の目標達成度はあまり高くない状態が続いていました。

もともと業務が忙しい中で、プラスαとなる目標に取り組むことは簡単なことではないですよね。

取り組みを行う時間が確保できなかったり、困難に直面したときにモチベーションが落ちたり、そして何より「目標を忘れてしまう」ということが大きな問題でした。

このような状況が1〜2年も続くと、自然と達成しやすい簡単な目標を設定するようになります。

例えば、cotauの会社には「クレド目標」という行動指針に関わる目標があるのですが、その中の「健康」という項目を選び「健康管理に気をつけて体調不良で欠勤しない」というような目標が設定されるようになりました。

これではスタッフ自身のキャリアステップや、ましてや会社としての業績向上につなげることはできません。

そこで取り入れたのが、毎月スタッフの進捗を支援する1on1の目標面談でした。

「なりたい自分像」を一緒に探り、その実現を手助けする

目標面談は、毎月1回1〜2時間程度の面談をメンターとメンティー2人だけで行います。

最初はうまくいかないこともありましたが、この取り組みを行うようになってから、目標の達成率は平均して20%以上はあがったのではないかと思います。

具体的にどのような形で行っているのか、項目ごとにご紹介しましょう。

大切なのは、話を楽しく聞く

Evernoteなどメモ帳にまとめながら話をしています

人数の少ないわたしの会社では、メンターは役員が努めていたので、特に新しく入ったスタッフは緊張してしまうことも少なくありません。

はじめの頃は、いきなり「目標はどのくらい進んでいるのか」などの話をしてしまったので、「まだこのくらいしか進んでいません」「今月は忙しくてなかなか取り組めませんでした」など、どうしても上司が部下に詰問するような状態になってしまい、場が重くなってしました。

特に「どうして」といった過去の原因追求は、スタッフからしたら、厳しく詰問されている感じになってしまいますよね。(「どうやったら」と一緒に未来を考えると建設的です)

そこで最初はプライベートな自己開示と、話を聞くことを意識するようにしました。

最近ハマっている趣味、地元のこと、家族のこと、とにかく楽しく話を聞く。雑談をする。
ポイントは、「話をする」ではなく「話を聞く」ということです。

スタッフが一人の人間として、どのようなことを考え、どういった価値観をもっているのか、何に楽しみを見出しているのか理解することは、目標達成へのアプローチも大きく変わってきます。

また、組織の創造性の変革に関する研究*によれば、「楽しさ」と「創造性」「KPI達成率」は、全て強い正の相関関係があることがわかっています。
*「組織の創造性の変革に関する研究」国際大学グローバル・コミュニケーションセンター、株式会社イトーキ 2019

何より、話す方も話を聞く方も、楽しい時間だと前向きに取り組めますね。
わたし自身、今ではスタッフ一人ひとりと話をする面談の時間を、毎月とても楽しみにしています。

いつもと環境を変える

面談を楽しいものにして、お互いにラフな雰囲気で話すのに、意外と重要なのが「環境を変える」ということです。

いつも業務を行っている事務所で話をすると、どうしても気持ちが開放的にならずに、窮屈な義務感を感じてしまいます。

そこでおすすめなのが、カフェや公園で話をすることです。

実際に、事務所で話していたときには雑談をしてもあまり盛り上がらず、どうしても事務的な目標の確認になってしまうことが多くありました。

それをカフェや公園など場所を変えてからは、とても楽しく話せるようになり、ついつい盛り上がってときには3時間近く話をしてしまうこともありました。

リモートワークが導入されているとなかなか難しいかもしれませんが、ときには一緒に美味しいランチを食べたり、公園でコーヒーを飲んだり、そんな日常とは違う雰囲気で話をしてみてはどうでしょうか。

ちなみに、わたしは嫁さんと喧嘩をしたりして話し合うときには、スタバで話をすることがよくあります。するとお互い感情的にならずに、前向きな話ができるから不思議です。

人間の創造性と天井の高さも比例するという研究*もあり、天井が高い方が開放的にいろいろなアイディアを話せるのかもしれません。環境を変えるのはほんとにおすすめです。
*「自分を操る超集中力」メンタリストDaiGo 2016

助言ではなく、質問をする

面談でやりがちなのが、「こうしようと思っている」ということに対して、すぐに「それならこうしたらいいんじゃない?」とアドバイスをしてしまうことです。

経験豊富なメンターは、つい(自分が思い込んでいる)最適解が頭に浮かぶので、よかれと思って「答え」を言ってしまいます。

でもそうすると、メンティーの人は自分で考えて試してみるという「主体的に行動」の機会を奪ってしまうことになりかねません。またその方法が必ずしもメンティーにとってのいい答えとは限らない場合も多いです。

最近印象に残っているエピソードをご紹介しましょう。

スタッフのSくんが「今後はプログラミングだけではなく、デザインもやってみたい」という希望を言ったときのことです。

わたしなら「それならこういうことをしてみれば?」と言ってしまうのですが、それを聞いたT社長は、「ええやん、じゃあデザインをしていくためにSくんはどうしたらいいと思う?」と質問しました。

どちらが主体的な考えや行動に繋がるかは、考えるまでもないですよね。

Sくんは「他の人にも簡単な内容は対応してもらえるようにプログラミングを教える」「パートナーさんとの連携をよりスムーズにして効率化する」など、わたしが思いつかなかった取り組みを考えて取り組んでくれています。

「答え」を言うのではなく、自分で考えて行動してもらえるように「質問」をする。

わたし自身いまだに難しいのですが、これを心がけると、スタッフ自身にとっても自己効力感ややりがいが感じられるようになり、主体的な行動に結びついていきます。

3年後の「なりたい自分像」を一緒に探る

面談の目的は、「半期の目標達成をサポートすること」なのですが、1年後・3年後といったより長期のビジョンを共有することで、半期の取り組みの意義がとても明確になります。

将来こうなっていたい
→3年後にはこうなっていたい
→1年後にはこうなっている
→そのために、この半期でこういうことに取り組む。

単にこの半期で何をしたいのかを考えてもらうより、このようにより大きな目標を見据えて、それに向かって今の取り組みがあると、モチベーションややりがいも変わってきます。

といっても、3年後どうなっていたい?と聞かれて、なかなかスムーズに答えられる人はいません。

そこでおすすめなのが、メンターとメンティーが一緒に考えながら「絵に描いてみる」という取り組みです。

人間は「言葉」よりも「視覚」で覚えた方が印象に残るので、こうやっていろいろ話を聞きながら絵に起こしていくことで「なりたい自分像」が明確になっていきます。

もちろん、「3年後にこうなっていたい」ということはその時々で変わっていくものなので、もし違うなと思ったら無理にこのビジョンを追いかけなくてもOKです。

上手に描くことが目的ではなく、簡単な落書きでも全然だいじょうぶなので、ワークとして一度試してみるととても楽しいですよ!

ちなみにこれは会社の「ビジョン」にも当てはまります。ビジョンはその名の通り「目的が達成された状態の風景」なので、それを視覚化することでより具体的に思い描くことができます。

会社の目標と、個人の目標をすり合わせる

会社の目標は、売上目標として具体的な数値になっている、という方もいるかもしれません。

「売上アップのために何をするか」という観点で話をしてしまい、ついついスタッフ個人のキャリアやビジョンを置いてきぼりにしてしまうこともあるでしょう。

このようなケースでも、まずスタッフが将来どうなりたいのかを聞いて、そこに売上目標を紐付けることが効果的です。

例えば、「将来はデザインをやりたい」というスタッフが営業をやっている場合。

「まず営業として、クライアントの要望や意見をしっかり聞いて、何を望んでいるか直接話して理解することは、将来デザイナーとして活躍する際に役に立つ」
「デザイナーとしてスキルを磨きつつ、まずこの半期はとにかくいろいろなクライアントの話を聞いてみると、会社の売上目標にも寄与できるし、キャリアステップに活かせる」

このように、会社の目標と、個人の目標の輪が重なる部分を見つけ出して、リンクすることをしっかりと伝えることができれば、スタッフの自発的な動機の強さも変わってきます。

1on1目標面談の取り組みまとめ

目標がなかなか達成されないというときに、「もっとしっかり取り組め」と叱責したり、逆に「達成にインセンティブをつける」ことは簡単です。

でもわたしは、そのような一時的な感情や動機では、継続的な取り組みは続けられないと思っています。

もちろん、何も言われなくても自分で成長して自走できるタイプの人はいます。ただ、そういう人ばかりではありません。そして、自走できない人=優れたポテンシャルを持っていない人とも限りません。

一緒になって伴走すること。日々少しずつでも前に進むことができる手助けをすること。
月に一回でも、自分のなりたい未来を思い出してもらう機会をつくること。
そして、前に進む過程を一緒に楽しむこと。

そういった「小さな進捗」を手助けすることが、スタッフ全体のキャリアアップと、幸福度に貢献できるのではないでしょうか。

ちなみに、毎日の進捗を支援する、一緒に取り組むのに、以下のような取り組みもおすすめです!