- 対象
- プロジェクトチーム
- 難しさ
- 中
- 実施時間
- 特になし
- コスト
- 特になし
- 主な内容
- プロジェクトなどの取り組みは、上司として「指示」するだけではうまくいかなかった
- スタッフが「YourPlan(あなたの計画)」ではなく「OurPlan(私たちの計画)」と捉えてもらえるように、意見を聞き取り入れてみた
- 「自分ごと」にしてもらえると、さまざまな意見や自主的に取り組みが生まれて、結果的によりよい形になった
「わたしたちのプラン」でみんなが主体的に関わるきっかけを
新しい事業や企画を立ち上げて、社内メンバーみんなと進めていきたいことがありますよね。
そういうとき、わたしは「こうやるのがよい」「他の業務と比べて優先で進めよう」と一人で決めていました。リーダーとして新しい物事を推進していくには、わたしが仕切ることが最もよいし、みんなもついてきやすいのではないか、と考えていたわけです。
ところがそういうリーダーシップを発揮すればするほど、メンバーのモチベーションは落ちていることが多いように思います。「やらされ感」というのでしょうか、ただでさえ忙しいのに命令されてやっている、という状態。今日はこの状態を改善できた出来事をご紹介します。
強権的なリーダーシップのデメリット
新しいものごとを進めるためにリーダーシップはとても大切です。
しかし、「誰が」「いつ」「何をやるべき」まで決めてしまうリーダーシップには、「わたしが一番わかっている」「わたしが正しい判断ができる」という傲慢さが潜んでいると思うのです。
「役員が全部決めていて、わたしたちはそれを聞くだけ。すべて勝手に決められている」
これは2019年にとった匿名アンケートでもらった言葉で、これを読んだときに頭を殴られたような衝撃をうけました。「ああそういうふうに捉えられているのか」と。
ショックではありますが、でも実際にそうなのです。メンバーのことを勝手に決めていたのです。
少なくても、わたしの会社では強権的なリーダーシップは反発しか生み出さないことを、強く実感しました。
メンバーの意見を聞く難しさ
ちょっと意識が変わったわたしは、まずコロナ禍でリモート中ということもあり、チャットで意見を募ってみることにしました。普通は役員で決めているような事柄について、「こういうのを取り入れるのはどう思う?」と聞いてみたのです。
結果、誰からも全く反応がない。ノーリアクションでした。
これもショックでしたが、今なら想像できます。
メンバーは全員の前で、ひとりだけリアクションを返すことに高いリスクを感じていたと思うのです。
「意見を言っても批判されるかもしれない」
「余計な仕事を背負い込んでしまうかもしれない」
「忙しいのにメッセージのやり取りになったら面倒」etc
つまり、わたしの会社は心理的安全性がまだまだ低い状態なのですね。
メンバー全員(10人)の前で、なにか意見を発するというのは、私が思うよりずっとハードルが高いものだったのでしょう。
これまたショックでしたが、なんとかこの状態を改善したいという気持ちを強く持つようになりました。
数人のグループで直接話を聞いてみる
次は別のプロジェクトで、A・B2つの企画の優先度を決めなければならない事態になりました。
どちらも多大なリソースを使う企画であり、両方を全力で動かすことは難しい内容。
経営的に考えれば、B企画の方が重要度が高いものでしたが、A企画は社内全員が参加し、既に動き出している状態です。ここでAを中断し、Bを優先させることはモチベーション面で非常に難しいと考えました。
そこで、Aの主要メンバーに集まってもらい、新しいB企画について説明した上で、どうするかの方向性はあえて出さずにゼロベースで意見を聞いてみました。
すると、各メンバーからしっかりとした意見をいただけたのです。
「Aも継続しながら、Bを優先で進めていきたい」
「Bを進めながら、Aもこういう部分は進められるのではないか」
「A・Bが被る場合には、Bを優先すればよいのではないか」
これはわたしが思っていた以上の理想的な進め方でした。
最適解というのは、わたしひとりの考えでは出てこないものなのですね。
「集合知」が最高の知性であるという考えを実感することができました。
そしてこれは、わたしが勝手に考えた(メンバーにとっての)YourPlanではなく、「わたしたちが考えた」OurPlanなのです。あなたのプランではなく、わたしたちのプラン。だからこそ、企画に主体的に取り組んでもらえると感じた出来事でした。
何がよかったのか
今回のケースで学んだことは、メンバーを企画に巻き込むためのリーダーシップのとり方です。
どの会社やチームでもそれがよいかはわかりません。でも、わたしの会社では、リーダーがすべて決めるより、意見を引き出す「ファシリテーション」型の方が、メンバーの主体性を引き出し企画を前に進めることができました。
- 1. 意見を聞いたり議論するのは5人程度までが発言しやすい
- 2. チャットより、対面やオンライン会議で話しをする
- 3. 最初から結論を決めておかない。中立的なゼロベースで意見を聞く
もちろん、ゼロベースで話しを聞くと意見が思わぬ方向に行くこともあるでしょう。その場合は、「こういったケースが発生したらどうする?」など、見落とされている角度に光をあてることも必要です。
しかし、それ以上にメンバーを信頼することが大切だと感じた機会でした。